概要情報
事件名 |
柳本製作所 |
事件番号 |
京都地労委 昭和61年(不)第7号
京都地労委 昭和61年(不)第9号
京都地労委 昭和61年(不)第10号
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申立人 |
柳本合同労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
株式会社 柳本製作所 |
命令年月日 |
平成 1年 3月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)会社の分社化に反対し第二組合を結成し、経営協議会の開催及び新会社への資材の搬出を実力で阻止しようとした組合員を業務妨害、指揮命令違反及び職場秩序の紊乱を理由に懲戒解雇したこと、(2)組合員X1の業務を取り上げたことが争われた事件で、組合員7名の懲戒解雇は不利益取扱には該当しないが、組合員全員を一律に懲戒解雇したことは支配介入にあたるとし、組合の行動に参加していなかった組合員1名について懲戒解雇処分取消し、原職復帰及びバック・ペイを、その他の組合員7名については会社都合による退職金相当額の支払を命じ、(2)については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人柳本合同労働組合の組合員X2に対する昭和61年 7月31日付の懲戒解 雇処分を取消し、原職又は原職相当職に復帰させるとともに、懲戒解雇処分を受けた日から 復帰に至るまでに同人が受けるべきはずの諸給与相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人柳本合同労働組合の組合員X3、X1、X4、X5、X6、X7及び X8に対し、同人らが懲戒解雇処分を受けた日を算定基礎とする会社都合による退職金相当 額をそれぞれ支払わなければならない。 3 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0110 結成行為の範囲とされた例
「労働者の会」の組合結成直前の行為は組合結成準備体としての行為とみてよく、会社との関係では、労働者団体の行為として憲法上の団体行動権の保障がうけられるとされた例。
0202 会社施設の利用
組合員X2は、入構阻止など一連の行為に直接関与したとは認められないので、同人を懲戒解雇したことは不利益取扱いであるとされた例。
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
0414 ピケッティング
相手を会社構外へ押し出す行為や会社構内に入構しようとする乗用者の進行を妨げるために座り込む行為は、話合いを実現する手段になじまないもので、許容される限度を越えた実力行為とされた例。
0203 職場闘争と業務妨害
0414 ピケッティング
入構阻止などの一連の行為は、正当な組合活動の範囲を逸脱し、かつ会社業務を妨害し、著しく職場の秩序を乱すもので、これらの行為に直接行動をもって関係した組合員を懲戒解雇したことが不利益取扱いではないとされた例。
0203 職場闘争と業務妨害
0414 ピケッティング
組合員3名がロッカー等を積み上げ物品の持ち出しを実力で阻止した行為は、社会通念上話合いを求めるための説得手段とはとうてい認められず、正当な組合活動の範囲内にあるとはいえないとされた例。
1302 就業上の差別
会社が組合員X1の主要な業務を取り上げたことが不当労働行為にあたるとの主張が斥けられた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X3ら7名を懲戒解雇したことは不利益取扱いにあたらないが、同人らの行為を奇貨として、組合員全員を懲戒免職することにより組合の存立基盤を失わせようとしたことがうかがえるので支配介入にあたるとされた例。
3105 事業廃止、工場移転・売却
会社が応技部の分社化を計画・実行したことが組合結成準備行為を妨害する目的でなしたものではないとされた例。
4422 その他
組合員X3ら7名の懲戒解雇は不利益取扱ではないが支配介入にあたると判断したうえで会社にも相当程度不十分な点があったことを配慮し、普通解雇がなされたと同等に退職金相当額の支払いを命じた例。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集85集292頁 |
評釈等情報 |
 
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