労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  第三建設運輸 
事件番号  愛知地労委 昭和59年(不)第2号 
申立人  全日本運輸一般労働組合南部地域支部 
被申立人  第三建設運輸  株式会社 
被申立人  第三建設興業  株式会社 
命令年月日  昭和62年 5月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)分会員に対し、組合からの脱退勧奨を行ったこと、(2)ビラの内容について謝罪がないことを理由に団体交渉を拒否したこと、(3)乗務員である分会員X1の車両管理業務を取り上げ、営繕係に配転したこと及び反抗的態度等を理由に戒告、出勤停止の各処分に付したこと、(4)同X2を、乗務指示違反を理由に戒告処分に付し、次いで主任を解任したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)脱退勧奨による支配介入の禁止、(2)団交応諾、(3)分会員X1及びX2の各処分の取消し、同処分がなかったものとしての取扱い、(4)分会員X1の原職への復帰、バックペイ、(5)分会員X2の主任解任の取消し、原職への復帰、バックペイ、(6)これらについての文書手交を命じ、陳謝文の掲示の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人第三建設興業株式会社及び同第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部の第三建設分会の分会員に対し、申立人からの脱退勧奨を行ったりなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部の第三建設分会が配布したビラの内容についての謝罪がないことを理由にして、申立人との団体交渉を拒否してはならず、誠意をもってこれに応じなければならない。
3 被申立人第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部の第三建設分会のX1分会員に対する昭和58年11月15日付けの2件、昭和59年3月21日付けの1件、同月22日付けの1件、同月26日付けの3件、同月31日付けの3件、同年4月13日付けの9件の戒告処分計19件及び同年3月27日付けの出勤停止処分並びにX2分会員に対する昭和58年11月15日付けの3件及び同年12月10日付けの1件の戒告処分計4件をそれぞれ取り消し、上記各処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部の第三建設分会のX1分会員に対する昭和58年10月4日付けの車両管理業務の取上げ及び昭和59年4月6日付けの配置転換命令を取り消し、同人を原職に復帰させ、同人に対し原職復帰に伴い支払うべき賃金と既に支払われた賃金との差額相当額を支払わなければならない。
5 被申立人第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部の第三建設分会のX2分会員に対する昭和58年11月1日付けの主任解任命令を取り消し、同人を原職に復帰させ、同人に対し原職復帰に伴い支払うべき賃金と既に支払われた賃金との差額相当額を支払わなければならない。
6 被申立人第三建設興業株式会社及び同第三建設運輸株式会社は、申立人全日本運輸一般労働組合南部地域支部に対し、下記の内容の文書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。
               記
 第三建設興業株式会社及び第三建設運輸株式会社が貴支部第三建設分会の分会員に対し貴支部からの脱退勧奨を行ったりなどしたこと、第三建設運輸株式会社が貴支部の申し入れた団体交渉に誠意をもって応じず、同分会のX1分会員に対し車両管理業務の取上げ、19件の戒告処分、出勤停止処分及び配置転換をし、並びにX2分会員に対し4件の戒告処分及び主任解任をしたことは、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会によって認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  昭和 年 月 日
 全日本運輸一般労働組合南部地域支部
  執行委員長 X8 殿
              第三建設興業株式会社
               代表取締役 Y1
              第三建設運輸株式会社
               代表取締役 Y1
7 申立人のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
X2に対する戒告処分が認められない以上、主任手当の不支給は不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1の営繕係への配転は、同人の車両管理業務の経験を既に評価しており、配転理由に、「取扱いが社撰である」との会社主張は認められず不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1に対する戒告処分及び出勤停止処分は、一度処分の対象となった行為に対して重ねて処分するなど、合理性があったとは認められないとして不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X2に対する戒告処分は、合理性があったとは認められず不当労働行為とされた例。

2234 団交の場以外での違法・不当行為
2251 一方的決定・実施
会社が、早出残業取扱い、夏季手当、通勤手当等に関する支部との団交において実質的な交渉をほとんど行うことなく、一方的に実施したことが不誠実団交とされた例。

2500 別組合の結成・援助
分会結成後、別組合が結成されたことについて、被申立人が関与したとの疎明はなく、別組合員と会社幹部が上部団体へ同行したことのみをもって支配介入とまではいえないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
社長が分会に対し、上部団体から脱退を求める旨の発言をしたことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
X3係長の、X4分会長、X5執行委員に対する発言は、その意図も明らかでなく、また、会社の意を受けたとまでは認められないとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y2係長が社長の指示を受け、X2の妻を介して、また、Y4部長がX2の親しいX7を介して、それぞれX2を支部から脱退勧奨したことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
Y3部長らがX6に組合脱退届の下書きを用意して支部から脱退勧奨したことが支配介入とされた例。

2623 脱退届け作成・提出強要
X6らの脱退届が、自ら書いたものとは別のものが提出されているが、被申立人が作成したと認めるに足りる疎明がないとして斥けられた例。

4614 文書手交のみを命じた例
申立人の請求する陳謝文の掲示については、文書手交が相当とされた例。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集81集451頁 
評釈等情報  労働法律旬報  1987.7.10 1171号 64頁 
労働法律旬報 杉浦豊  1987.7.10 1171号 62頁 

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
名古屋地裁 昭和62年(行ク)第23号 一部認容  昭和62年10月20日 決定 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約206KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。