概要情報
事件名 |
大手前高松高等(中)学校 |
事件番号 |
香川地労委 昭和59年(不)第4号
香川地労委 昭和60年(不)第2号
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申立人 |
香川県大手前高松高等(中)学校教職員組合 |
被申立人 |
学校法人 倉田学園 |
命令年月日 |
昭和61年12月26日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、(1)休憩時間中の職場集会参加を理由に、組合執行委員長X1ら5名を減給、組合員X2ら15名を厳告、戒告、訓告の各処分に付したこと、(2)始業時刻前の職員室での組合ニュース配布を理由に、執行委員長X1及び書記長X3を4日間の出勤停止処分に付したこと、(3)教頭補佐をして職場集会及び組合ニュースの配布を制止させ、回収させたことが争われた事件で、(1)職場集会参加を理由とする各処分通告書の撤回、X1ら5名の減給分の支払い(年5分加算)、(2)X1及びX3の出勤停止処分通告の撤回、減給分の支払い(年5分加算)、(3)支配介入の禁止、(4)文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人学園は、申立人組合の下記組合員に対してなした職場集会参加を理由とする下記 処分通告書を撤回し、かつ、申立人組合の執行委員長X1に対し当該処分による給与減給額 390円、同副執行委員X4に対し同970円、同書記長X3に対し同630円、同執行委員X5に対し 同720円、同執行委員X6に対し同3,650円及びこれらに対する昭和58年6月22日から支払い済 みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払わなければならない。 (下記略) 2 被申立人学園は、申立人組合の執行委員長X1及び同書記長X3に対してなした組合ニュー ス配布を理由とする昭和59年2月17日付出勤停止処分通告書を撤回し、X1に対し当該出勤停 止処分による給与減給額 2,912円、X3に対し同 5,219円及びこれらに対する昭和59年2月22 日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員をそれぞれ支払わなければならない。 3 被申立人学園は、申立人組合の正当な組合活動である休憩時間中の学園内での職場集会及 び就業時間外の職員室での組合ニュース配布に対し、その職制を通じて制止、回収する等し て、組合の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人学園は、本命令受領後10日以内に下記の文書を申立人組合に手交しなければなら ない。 記 貴組合が休憩時間中に学園内で職場集会を開催したこと及び始業時刻前に職員室で組合ニ ュースを配布したことに関し、学園が組合員に対し昭和58年6月17日付、同月18日付及び昭5 9年2月17日付で処分をしたり、職制を通じて制止、回収せしめたことは、香川県地方労働委 員会によって不当労働行為であると認定されましたので、上記処分を撤回し、今後このよう な行為はいたしません。 昭和 年 月 日 香川県大手前高松高等(中)学校教職員組合 執行委員長 X1 殿 学校法人 倉田学園 理事長 Y1 |
判定の要旨 |
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
組合のいわゆる報告集会は、昼の休憩時間中の5分間ないし10分間程度、平穏に行われ特段、職場秩序の維持に支障があったり、具体的に施設の管理上不都合があったとは認められないこと等から、正当な組合活動の範囲に属するとされた例。
0200 宣伝活動
始業時刻前に約5分間程度、職員室内で組合ニュースを無許可で配布したことは、正当な組合活動としての範囲を逸脱したものとまではいえないとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
始業時刻前に職員室内で組合ニュースを無許可で配布したことを理由とする組合執行委員長に対する出勤停止処分が、組合ニュースの配布が正当な組合活動であると認められることから不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昼の休憩時間に玄関横で行われた無許可の職場集会に参加したことを理由とする組合執行委員長X1ら20名に対する減給、厳告等の各処分が、職場集会が正当な組合活動であると認められることから不当労働行為とされた例。
3020 組合活動への制約
3410 職制上の地位にある者の言動
休憩時間中の学園内での職場集会に対し、職制を通じて制止したことが支配介入であるとされた例。
3020 組合活動への制約
3410 職制上の地位にある者の言動
就業時間外の職員室での組合ニュースの配布に対し、職制を通じて回収せしめたことが支配介入であるとされた例。
3700 使用者の認識・嫌悪
組合が組合活動のため学園施設を使用する場合の許可基準、細目について話し合いをせずに、施設管理権を理由に組合活動のための施設使用は一切許さず、かつ、許可申請があったとしても、これを認めないとする学園の態度は、著しく不相当であるとされた例。
4825 その他
組合は中間管理職の地位にある生徒指導主事を加入させており、これは労組法2条ただし書1号に該当するから、救済申立ては却下されるべきであるとの学園の主張が斥けられた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集577頁 |
評釈等情報 |
 
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