概要情報
事件名 |
ニプロ医工 |
事件番号 |
群馬地労委 昭和58年(不)第1号
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申立人 |
合化労連化学一般関東地方本部ニッショー・ニプロ支部 |
申立人 |
合化労連化学一般関東地方本部 |
被申立人 |
ニプロ医工 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年 1月30日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
昭和57年度賃上げ及び一時金において、支部組合員の人事考課を他の従業員に比し、低位に査定したことが争われた事件で、これら差別による支配介入の禁止、賃上げ及び一時金に係る考課の平均が、別組合員及び非組合員の平均と等しくなるように再査定を行ない、是正すること、再査定を行うに際しては、従来の査定を不利に変更してはならないこと、ポスト・ノーティス及びその履行状況を地労委に報告することを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人支部組合の組合員に対し、被申立人館林工場のゼンセン同盟全ニッショー労働組合連合会ニプロ医工労働組合の組合員及び非組合員(管理職を除く。)と、賃金、一時金を差別することによって、申立人ら組合の組織運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人支部組合の組合員に係る昭和57年度賃金引上げのうち、職能給の査定分の考課査定の平均が、被申立人館林工場のゼンセン同盟全ニッショー労働組合連合会ニプロ医工労働組合の組合員及び非組合員(管理職を除く。)の平均と等しくなるよう再査定を行い、支部組合員の職能給額を是正しなければならない。 3 被申立人は、申立人支部組合の組合員に対して、前項に命ずる是正をなしたうえ、支部組合員の昭和57年夏季一時金及び同年年末一時金の平均支給月数が、被申立人館林工場のゼンセン同盟全ニッショー労働組合連合会ニプロ医工労働組合の組合員及び被組合員(管理職を除く。)の平均と等しくなるよう再査定を行い、支部組合員の各一時金の支給額を是正しなければならない。 4 被申立人は、前2項に命ずる再査定を行なうに際しては、申立人支部組合の組合員の従来の査定を不利に変更してはならない。 なお、再査定の対象者は、本件審問集結時に申立人支部組合の組合員であった者に限る。 5 被申立人は、前3項に命ずる是正の結果、申立人支部組合の組合員が得るべき賃金、一時金の額と既に支払われた額との差額を同人らに速やかに支払わなければならない。また、是正結果及び差額内容の明細を申立人支部組合に通知しなければならない。 6 被申立人は、命令書交付の日から7日以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの白色木板に下記のとおり楷書で墨書し、被申立人館林工場の食堂内の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 会社が、貴支部組合員を、昭和57年度の職能給の昇給、夏季一時金及び年末一時金の考課査定において、会社館林工場のゼンセン同盟全ニッショー労働組合連合会ニプロ医工労働組合の組合員及び非組合員(管理職を除く。)と差別したことは、不当労働行為であると群馬県地方労働委員会により認定されました。よって、貴支部組合員の考課査定について速やかに是正措置を講ずるとともに、今後かかる差別的行為はくり返さないよう十分留意いたします。 昭和 年 月 日 合化労連化学一般関東地方本部 執行委員長 X1 殿 合化労連化学一般関東地方本部ニッショー・ニプロ支部 執行委員長 X2 殿 ニプロ医工株式会社 代表取締役 Y1 (注:年月日は文書掲示の初日とする。) 7 被申立人は、第2項から前項までに命ずるところを履行したときは、その都度遅滞なく当委員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和57年度賃上げ及び一時金の考課査定において、支部組合員を他の従業員に比し、低位に査定したことが不当労働行為であるとされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
賃上げ及び一時金の格差の是正にあたり、救済対象者の範囲については、組合申立であること、この点についての申立組合の主張がないことから、審問集結時支部組合員であった者に限るのが妥当であるとされた例。
5121 挙証・採証
両組合員の労働の質量が均一性を有することを申立組合が立証すべきであるとの会社主張につき、別組合は支部からの脱退者らにより結成されたものであり、支部組合員数が被支部組合員数に比べ著しく少ないということはなく、両組合員とも工場の各部署全般に分布しているところから、両組合員の労働の質量は均一性を有するものと推定するのが妥当であるとされた例。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集77集88頁 |
評釈等情報 |
 
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