労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  圓井制作所 
事件番号  大阪地労委昭和45年(不)第38号 
大阪地労委昭和44年(不)第72号 
大阪地労委昭和46年(不)第1号 
申立人  全大阪金属産業労働組合圓井制作所分会 
申立人  全大阪金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 圓井制作所 
命令年月日  昭和46年12月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が分会員を退寮させ、団交を協議会にすぎないと評価し、ビラ配布等の教宣活動を妨害し、分会員の定昇額や一時金額を低く考課査定し、また分会員を配転した事件で、入寮、誠意ある団交、平均額による昇給や一時金の支給及びポスト・ノーティスを命じ、分会員の配転については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、正当な理由なく寮を閉鎖して退寮させた分会員X1およびX2を再び寮に入居させなければならない。
2 被申立人は、申立人組合が昭和45年3月20日づけで申し入れた労働協約締結にかかる団体交渉に誠意をもって応じなければならない。
3 被申立人は、分会員に対し、昭和45年6月の定期昇給金額を下記(1)および(2)により算出し、すでに昇給した額との差額を支払わなければならない。
                記
(1) 被申立人は、分会員の人事考課による査定ランクを分会員が属する級の非組合員の平均評価ランクに是正し、昇給額を引き上げること
(2) 被申立人は、非組合員に支給した特別考課金額の平均額を算出し、分会員の特別考課金額とすること
4 被申立人は、分会員に対し昭和45年夏期一時金および同年年末一時金について、昭和45年度定期昇給金額の是正に際し行なったと同様の操作により、分会員の人事考課にかかる得点および特別考課金額を修正し、既支払済分との差額を支払わなければならない。
5 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり墨書して、本社正門付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                記
                     年  月  日
 全大阪金属産業労働組合
   執行委員長 X3 殿
 同圓井制作所分会
   分 会 長 X4 殿
             株式会社 圓井制作所
               代表取締役 Y1
 当社は、貴組合および貴分会に対し下記の行為を行いましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号、同第2号および同第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓約したします。
                記
1 正当な理由なくして寮を閉鎖し、貴分会の分会員X1氏および同X2氏を退寮させたこと
1 貴組合との団体交渉を協議会にすぎないと評価して、誠意をもって応じようとしなかったこと
1 正当な理由なくして貴分会のビラ配布等の教宣活動を妨害したこと1 昭和45年度定期昇給金額決定ならびに同年夏期一時金および年末一時金決定に際し、貴分会の分会員を不当に低く考課査定したこと
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。
6 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
3020 組合活動への制約
組合が休憩時間中に社内でビラを配布したり、マイクで放送したりすることは本来自由であって、会社施設を汚損したり、マイクで一般従業員に不快の念を与えたりしない限り、正当性を有するので、会社が就業規則違反などを理由にそれを妨害すれば、組合に対する支配介入行為が成立する。

1202 考課査定による差別
会社は、昇給等について分会員全員を低く査定したことについて合理的な説明もできず、また考課査定の項目の恣意的なものであることから、分会嫌いの会社が恣意的な項目を駆使して不当に差別し、もって分会員が分会から脱退することを動機づけようとした不当労働行為である。

1300 転勤・配転
分会員X5の配転は、配転以前にX5が積極的に組合活動したという疎明がなく、また配転理由として会社のあげる事柄には理由が認められるので、救済の対象とすることはできない。

1601 福利厚生上の差別
会社が寮を閉鎖して分会員を退寮せしめた理由としてあげている事柄はいずれも納得し難いもので、結局その真の意図は寮が組合活動の拠点となることをおそれたためであると認められるので、会社の退寮措置は、寮生らの正当な組合活動を嫌悪した不当労働行為である。

2249 その他使用者の態度
会社が、組合との間に続けてきた交渉を労組法上の団交とは認めないで協議会にすぎないと評価している態度は、現行法上許される余地はなく、かかる態度は団交拒否に該当する。

4414 その他の不利益の場合
組合は、分会員が会社の退寮措置のためアパートに移転し、それによって支出した金額の支払いを求めているが、どれほどの経済的不利益をこうむったが疎明も不十分なので、再入寮を命ずるにとどめた。

4415 賃金是正を命じた例
会社が分会員全体に対してなした昇給・一時金に関する考課査定上の差別に対しては、非組合員の平均評価ランクあるいは平均支給額にもとづいて是正するのが相当である。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集45集418頁 
評釈等情報  労働判例 1972.4.1  144 号 82頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和46年(不再)第69号
中労委昭和48年(不再)第53号
一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和49年 7月 3日 決定