概要情報
事件名 |
大阪暁明館 |
事件番号 |
中労委 昭和57年(不再)第55号
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再審査申立人 |
社会福祉法人 大阪暁明館 |
再審査被申立人 |
大阪暁明館 職員組合 |
命令年月日 |
昭和61年 2月19日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)昭和54年の各一時金、三六協定締結等に関する団交を拒否したこと、(2)55年年末一時金を組合と協議することなく一方的に支給したこと、(3)組合を非難する文書を掲示したこと、(4)組合の懸垂幕を持ち去ったこと等が争われた事件で、(1)組合の要求した事項(既に解決した事項は除く)及び55年年末一時金について誠意をもって団交を行うこと、(2)上記の(1)ないし(4)に関する文書掲示を命じた初審命令を支持し、再審査申立てを棄却した(ただし、文書掲示に関する初審命令主文第2項の一部を改めた。)。 |
命令主文 |
1 中労委昭和57年(不再)第55号事件初審命令主文第2項の(1)、(2)及び(5)を次のように改 める。 (1)昭和54年6月4日から同年10月13日までの間に貴組合が要求した事項について、誠意を もって団体交渉に応じなかったこと及び同年10月26日から同年11月14日までの間正当な 理由がなく団体交渉を拒否したこと。 (2)昭和55年年末一時金について誠意をもって団体交渉に応じなかったこと。 (5)昭和54年9月15日、貴組合の懸垂幕を持ち去り、3日間その返還に応じなかったこと。 2 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2249 その他使用者の態度
組合の団交申し入れに対し、団交ルールの確立等労使正常化及び病院の再建等を提案しその先議を主張して譲らず、また、一時金について増額回答をしたものの、その支給方法、支給期日については回答しない病院の態度は不誠意であると判断した初審判断は相当であるとされた例。
2242 回答なし
1カ月の時間外労働時間数、割増賃金等組合の三六協定締結要求に対し、具体的に回答しない病院の態度は誠意あるものとは言い難いとされた例。
2242 回答なし
組合が団交を申し入れた看護婦の時間外労働等の問題について、経営権に属するとか、医療の問題であるとして交渉議題から除外することを提案し、労働条件の改善に関し具体的な回答を示さないことは、誠意を持って団交に応じたとはいえないとした初審判断は相当であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
年末一時金に関する団交において、銀行との話し合いがつくまでは団交の余地がないと回答することにとどまる病院の態度は、誠意あるものとは認められないとした初審判断は相当であるとされた例。
2300 賃金・労働時間
病院が交渉議題から外すよう提案した組合要求事項の多くは、直接間接に労働条件に関係するものであるから、本件提案は団交に不当な制限を課したものとした初審判断は相当であるとされた例。
2230 不穏当な態度
組合の大衆行動が行き過ぎたものであったとしても、このことをもって、直ちに団交において交渉委員の生命、身体に危害を加えられる恐れがあるとはいえず、以後の団交を拒否する理由とすることは妥当でないとされた例。
2620 反組合的言動
職員食堂に「お知らせ」と題する組合を非難する文書を掲示したことは不当労働行為にあたるとした初審判断は相当であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合が病院に対し組合費のチェック・オフの控除率を引き上げるよう申し入れたところ、病院が増額を拒否し従前どおりの処理を行ったことを不当労働行為と判断した初審判断は相当であるとされた例。
3020 組合活動への制約
Y1係長が病院地下2階に干してあった組合の懸垂幕を持ち去り、組合の返還要求に応じず、後日書留小包をもって返還したことを支配介入であるとした初審判断は相当であるとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
昭和55年末一時金を組合との間で協議を尽くさないまま、一方的に支給したことは、組織の弱体化を図ったものであり、これと同一の初審判断は相当であるとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集720頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1986年6月10日 748号 10頁 
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