概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道・日本貨物鉄道(京都不採用) |
事件番号 |
京都地労委 昭和63年(不)第2号
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申立人 |
国鉄労働組合近畿地方本部 |
申立人 |
X2 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
西日本旅客鉄道 株式会社 |
被申立人 |
日本貨物鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年 5月31日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄の分割民営化に伴う新会社発足時、西日本旅客鉄道が組合員X1を日本貨物鉄道が同X2を採用しなかったことが争われた事件で、両会社に対し、それぞれ採用したものとしての取扱い、バック・ペイ及びこれらに関する文書交付を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、申立人X1を昭和62年4月1日付で被申立人の職員 として採用したものとして取り扱うとともに、同人に対し、同日以降就労させるまでの間、 同人が受けるはずであった賃金相当額(既に日本国有鉄道清算事業団から支払われた金額を 除く)に年率5分の割合による金員を加算した金額を支払わなければならない。 2 被申立人日本貨物鉄道株式会社は、申立人X2を昭和62年4月1日付で被申立人の職員と して採用したものとして取り扱うとともに、同人に対し、同日以降就労させるまでの間、同 人が受けるはずであった賃金相当額 (既に日本国有鉄道清算事業団から支払われた金額を除 く) に年率5分の割合による金員を加算した金額を支払わなければならない。 3 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合近畿地方本部及びX1に対し、 下記1の文書を交付しなければならない。 4 被申立人日本貨物鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合近畿地方本部及びX2に対し、下 記2の文書を交付しなければならない。 記1 昭和62年 4月 1日に実施された日本国有鉄道の分割民営化に伴う承継法人の職員採用に際 して、国鉄労働組合の組合員であるX1を採用しなかったことは、京都府地方労働委員会に おいて、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められまし た。よって、これを機に円満健全な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国鉄労働組合近畿地方本部 執行委員長 X3 殿 X1 殿 西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 記2 昭和62年4月1日に実施された日本国有鉄道の分割民営化に伴う承継法人の職員採用に際 して、国鉄労働組合の組合員であるX2を採用しなかったことは、京都府地方労働委員会に おいて、労働組合法第7条第1合及び第3号に該当する不当労働行為であると認められまし た。よって、これを機に円満健全な労使関係の形成に努めます。 平成 年 月 日 国鉄労働組合近畿地方本部 執行委員長 X3 殿 X2 殿 日本貨物鉄道株式会社 代表取締役 Y2 |
判定の要旨 |
1500 不採用
国鉄が国労組合員X1ら2名を職員候補者名簿に登載せず、その結果、設立委員が両名を承継法人の職員として採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。
4911 解散事業における使用者
国鉄の職員候補者名簿作成行為は、設立委員を代行してその指揮監督のもとに実質上の採用決定を行ったというべきで、その行為の責任は設立委員が負い、承継法人に承継された両社は、被申立人適格を有するとされた例。
5006 採用の請求
国鉄と承継法人との従業員の雇用における連続性を考えると、本件採用の実態は新規採用とはいえず、本件事情のもとでは職員として採用したものとして取り扱うよう命ずることは、労委の裁量権の範囲内にあるとされた例。
5008 その他
改革法23条は国鉄の分割民営化される過程における職員採用の方法を定めたものであるから、その過程において不当労働行為が存在すれば、労委がこれを救済できるのは当然であるとされた例。
5121 挙証・採証
本件不当労働行為の判断は、申立人の主張・立証により認められるところであるが、被申立人らは、その機会が十分に与えられたにもかかわらず一切反論・反証を行うことがなかった例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集86集651頁 |
評釈等情報 |
 
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