概要情報
事件名 |
日本シェーリング |
事件番号 |
中労委 昭和58年(不再)第25号
中労委 昭和59年(不再)第36号
中労委 昭和59年(不再)第37号
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再審査申立人 |
日本シェーリング 株式会社 |
再審査被申立人 |
総評合化労連化学一般日本シェーリング労働組合 |
命令年月日 |
昭和62年12月25日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)昭和56年度及び57年度の各賃上げについて稼働率80%以下の者を賃上げの対象から除外したこと、(2)同年の各夏、冬一時金について、組合員を低く査定したことが争われた事件で、(1)「80%条項」の撤回、同条項該当組合員に対する賃上げ、それに伴う一時金の是正及び差額の支給(年5分加算)、ただし、57年一時金は同性、同学歴、同職種の別組合員の平均支給月数と同一となるよう是正、(2)ポスト・ノーティス、(3)賃上げに係る仮払い分及び組合員と別組合員との平均支給月数が同一となるよう是正を求めた部分は棄却した初審命令について、両年度の一時金に係る査定部分の平均を別組合員の平均支給月数と同一となるよう是正するよう命じたほか、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 I 大阪地労委昭和57年(不)第21号事件及び同58年(不)第23号事件の命令主文を次のように変更する。 1 日本シェーリング株式会社(以下「会社」という。)は、総評合化労連化学一般日本シェーリング労働組合(以下「組合」という。)と締結した昭和56年度及び同57年度賃上げ協定中、稼働率80%以下の者を賃上げ対象者から除外する旨の条項(以下「80%条項」という。)を適用することなく、上記各年度80%条項該当の組合の組合員に対し、昭和56年4月及び同57年4月からそれぞれ賃上げが実施されたものとして取り扱わなければならない。 2 会社は、組合の組合員に対し、昭和56年及び57年の夏季一時金を次のとおり是正し、算出した額から既支給額を控除した額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。 (1)組合の組合員の査定部分の平均を、全日本シェーリング労働組合の組合員に支給した上記各一時金の平均支給月数と同一になるよう再査定すること。 なお、この再査定は、既に組合の組合員各人に支給した査定部分の額を下回らないこと。 (2)上記各一時金の算出にあたっては、昭和56年度及び同57年度賃上げにおいて80%条項に該当して賃上げ対象者から除外された組合の組合員に対して、それぞれ各年度の賃上げが行われたものとして計算すること。 3 会社は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、会社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 総評合化労連化学一般 日本シェーリング労働組合 執行委員長 X1 殿 日本シェーリング株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、中央労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 (1)昭和56年度及び同57年度賃上げにおいて、各賃上げ協定中、稼働率80%以下の者を賃上げ対象者から除外する旨の条項を適用して貴組合の組合員を不利益に取り扱ったこと。 (2)昭和56年及び同57年度の夏季一時金及び冬季一時金において、貴組合の組合員を不当に低く査定して、不利益に取り扱ったこと。 4 組合のその余の救済申立てを棄却する。 II その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、賃上げ協定締結に際し、その対象者を「稼働率80%以上の者とする」とのいわゆる「80%条項」を一方的に適用し、組合員X2ら3名を稼働率80%に達していないとして賃上げをしなかったことが不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集82集665頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1988年3月10日 775号 20頁 
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