労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  平和第一交通 
事件番号  福岡地労委昭和61年(不)第9号 
申立人  平和タクシー労働組合 
被申立人  平和第一交通 有限会社 
命令年月日  昭和62年11月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、経営者の交代を機に、(1)組合に対し運収管理に関する協定の破棄を通告したこと、(2)組合員に対し退職勧奨及び組合脱退慫慂を行ったこと、(3)新規採用者に対し組合不加入及び組合活動禁止条項を含む試用誓約書の提出を求めたこと、(4)組合旗の掲揚に対し処分警告書を発し、撤去したこと等が争われた事件で、上記(2)及び(3)による支配介入の禁止、(4)に関し、警告書の撤回と組合旗の返還及び組合旗等の掲揚についての交渉の実施、(1)に関し、三種の協定のうち二種の協定についての破棄通告の撤回と効力が存在するものとしての取扱い、文書掲示を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、次の行為により申立人組合の運営に支配介入してはならない。
(1)従業員の身分一新の勧奨に際し、組合役員に対する利益誘導や威圧的発言及び組合員に対する組合誹謗や組合脱退慫慂の発言を行うこと。
(2)新規採用者に対し組合不加入及び組合活動禁止条項を含む試傭誓約書の提出を求めること。
2 被申立人は、組合旗等掲揚に係る昭和61年8月25日付の処分警告書を撤回し、撤去保管している組合旗等を申立人組合に返還するとともに、会社敷地内の組合旗等の掲揚について申立人組合と誠意をもって交渉しなければならない。
3 被申立人は、運収管理に係る昭和60年7月25日付協定及び同年12月13日付協定について昭和61年7月4日付で行った破棄通告を撤回し、両協定の効力が存在するものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に下記の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に明瞭に墨書して、点呼室の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
               記
 会社の下記の行為については、福岡県地方労働委員会により労働組合法第7条第3号の不当労働行為と認定されましたので、貴組合に対し遺憾の意を表するとともに今後このような行為を行わないことを誓います。
               記
(1)従業員の身分一新の勧奨に際し、組合役員に対する利益誘導や威圧的発言及び組合員に対する組合誹謗や組合脱退慫慂の発言を行ったこと。
(2)新規採用者に対し組合不加入及び組合活動禁止条項を含む試傭誓約書の提出を求めたこと。
(3)昭和61年7月13日以降組合が掲揚した組合旗等を撤去し、組合旗等掲揚に対し処分警告書を発し、撤去旗の返還に応じなかったこと。
(4)運収管理に係る昭和60年7月25日付協定及び同年12月13日付協定を一方的に破棄通告したこと。
                 昭和  年  月  日
 平和タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿
            平和第一交通有限会社
             代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0202 会社施設の利用
組合の、7月13日以降の組合旗掲揚の態様は従前と異なり、また、矢継ぎ早に発生した紛争に対応するため、組織防衛を余儀なくされていた状況、会社施設外観からみて、特段の業務阻害が生じたとはいえないとして、本件組合旗掲揚の行為は正当な組合活動であるとした例。

1500 不採用
ユ・シ協定締結組合である申立人組合の新規採用乗務員に対し、試用期間中の組合加入及び組合活動禁止条項を含む試用誓約書の提出を求めたことが不当労働行為であるとされた例。

2500 別組合の結成・援助
申立人組合の、会社が組合解体を目的として別組合を結成させ、別組合役員が申立人組合員宅を訪問し、退職勧奨を行ったとするが、結成に会社が関与したとの疎明が不十分であるとして斥けた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
2700 威嚇・暴力行為
会社の、組合役員に対する利益誘導や組合執行部の孤立化を示唆し、威圧的に解散を求め、団交権を軽視して行われた退職勧奨あるいは組合否認の言動が支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
職制が、組合員X2に対してなした保険証の交付要請または身分一新の勧奨は、組合脱退慫慂あるいは組合誹謗であり支配介入であるとされた例。

0202 会社施設の利用
3020 組合活動への制約
労使慣行から会社施設内に組合旗の掲揚を認めていた事実がみられるが、その掲揚の態様をみるに会社施設外観を著しく損なうなど業務阻害が明らかであり不当労働行為とはいえないとされた例。

3020 組合活動への制約
組合の組合旗自粛掲揚後も、会社は、委員長らに処分警告書を発するなど、専ら施設管理権のみを絶対視した対応を続けたことが支配介入であるとされた例。

4602 組合との協議を命じた例
会社敷地内における組合旗掲揚ルールにつき、労使交渉による協議解決を命ずるをもって相当であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集82集358頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡地裁昭和63年(行ウ)第1号 救済命令の一部取消し  平成 3年 1月16日 判決 
 
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