概要情報
事件名 |
九州旅客鉄道(宮崎不採用) |
事件番号 |
宮崎地労委 昭和62年(不)第1号
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申立人 |
国鉄労働組合鹿児島地方本部 |
申立人 |
国鉄労働組合 |
被申立人 |
九州旅客鉄道 株式会社 |
命令年月日 |
平成 1年 4月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄の分割民営化に伴う新会社発足時、会社が組合員66名を採用しなかったことが争われた事件で、66名の採用、就労すべき職場・職種等について誠意をもっての協議、バック・ペイ及び文書手交を命じ、陳謝文の掲示については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、別紙1救済対象者名簿記載の組合員を、昭和62年 4月 1日以降同社の社員に採用したものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、上記第1項を履行するに際し、それぞれの組合員が就 労すべき職種、職場等について、申立人組合と誠実に協議しなければならない。 3 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、別紙救済対象者名簿記載の組合員に対し、昭和62年 4 月 1日以降就労させるまでの間、同人らが同社に採用されていたならば得たであろう賃金相 当額と申立外日本国有鉄道清算事業団において実際に支払いを受けた賃金額との差額を支払 わなければならない。 4 被申立人九州旅客鉄道株式会社は、本命令受領後、速やかに申立人組合に対して次の文書 を手交しなければならない。 記 当社が、国鉄改革に伴う職員採用において、貴組合の組合員を貴組合所属の組合員である こと及び組合活動を行ったことを理由に昭和62年 4月 1日付で社員として採用しなかったこ とは、宮崎県地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当 労働行為であると認定されました。 よって、ここに遺憾の意を表するとともに、今後このような行為を繰り返さないようにい たします。 平成 年 月 日 国鉄労働組合 中央執行委員長 X1 殿 国鉄労働組合鹿児島地方本部 執行委員長 X2 殿 九州旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 印 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1500 不採用
国鉄が、組合員66名を承継法人の職員となるべき者の名簿に記載せず、設立委員が本件組合員を採用しなかったことが不当労働行為であるとされた例。
4410 雇入拒否の場合
5006 採用の請求
本件不採用の救済方法として、事実上本件組合員を採用したものとして取り扱うよう命ずることが最も実効性のある救済方法であり、労委の権限に属するものとされた例。
4417 条件付命令・協議命令
本件採用対象者の救済にあたって、組合員が就労すべき職種、職場などについて、組合と誠実に協議するよう命じた例。
4421 文書掲示等を命じた例
陳謝文の交付などの請求に対して、国民一般は分割民営化は成功であったと評価していること、申立人らのかたくなな反対の態度にも全く責任がなかったとは言い切れないことなどを考慮し、文書手交を命じた例。
4911 解散事業における使用者
国鉄が行った承継法人の職員となるべきの者の選定、名簿作成の行為について、その責任は設立委員を介して承継法人に帰属し、企業の実質的な面、採用手続きの面からも、承継法人は被申立人適格を有するとされた例。
5147 その他
本件不採用は、形式上いわゆる「新規採用」の方式を採用した「整理解雇」であり、会社の採用の自由の主張は、本件については妥当しないとされた例。
5121 挙証・採証
本件審査過程において十分主張・立証の機会を与えたにもかかわらず、会社は、当該組合員が採用されるべき適格性を有しないことについて主張も立証も行わなかったので、申立人の概括的立証によって採用を命じた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集86集224頁 |
評釈等情報 |
 
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