概要情報
事件名 |
中川タクシー |
事件番号 |
奈良地労委 昭和62年(不)第4号
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申立人 |
X1 |
申立人 |
X2 |
申立人 |
奈良県自動車交通労働組合中川タクシー分会 |
被申立人 |
中川タクシー ことY1 |
命令年月日 |
昭和63年11月11日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人X2の(1)賃上げ等に関する不誠意団交、(2)親睦会の慰安旅行経費に関する分会員への差別、(3)分会員X1に残業を禁止する等の不利益取扱い、(4)専属車割当ての差別、(5)親睦会加入等に関する支配介入が争われた事件で、(1)分会との誠実な団体交渉、(2)乃至(4)の不利益取扱いの禁止及びこれらに関する文書掲示を命じ、(5)については申立てを却下した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人中川タクシー分会に対し、「賃上げ」「定年延長」「退職金」「仮眠所設置」並びに「営業車の割り当て」の各項目について、具体的な資料を提出するなどして、十分な説明をし誠意をもって団体交渉を行わなければならない。 2 被申立人は、親睦会の慰安旅行経費を負担するなどして、申立人分会の組合員を差別してはならない。 3 被申立人は、申立人X1が営業車に乗務することを拒否し、また、残業することを禁止するなどして、同人を不利益に取り扱ってはならない。 4 被申立人は、従来からの労使慣行を無視して、勤続の長い分会員より勤続の短い非分会員に対して専属車を先に割り当てるなどして、申立人分会の組合員を差別してはならない。 5 被申立人は、申立人X1が乗務拒否及び残業禁止のために逸失した賃金相当額について、申立人らと話し合い解決し、X1に支払わなければならない。 6 被申立人は、申立人らに対して、本命令書受領の日から1週間以内に縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人の事務所内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 奈良県自動車交通労働組合中川タクシー分会 分会長 X2 殿 分会長 X1 殿 中川タクシーこと Y1 私が度重なる労働委員会の命令を無視して、貴分会及びX1に対し、下記の不当労働行為を行った旨奈良県地方労働委員会により認定されました。よって、今後このような行為を繰り返さないことを誓います。 記 1 貴分会の要求に対し誠実な団体交渉を行わなかったこと。 2 親睦会の慰安旅行経費を負担し、貴分会員を差別したこと。 3 X1に対し、営業車に乗務することを拒否したり、また、残業することを禁止し、差別したこと。 4 専属車の割り当てについて、貴分会員を差別したこと。 以上、奈良県地方労働委員会の命令により掲示します。 7 親睦会への加入・結成に関することが支配介入に当たるとの申立ては、これを却下する。 8 申立人らのその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
専属車の割り当ては採用時順に行うという慣行を無視して分会員に割り当てをしなかったことが不利益取扱いであるとされた例。
1302 就業上の差別
親睦会を脱退し分会に再加入したX2に対する乗務割り当てが慣行無視であるとの主張は、分会加入以前のものであり、同人を分会の一派とみなし、これを嫌悪してなした不当労働行為ではないとされた例。
1302 就業上の差別
交通事故のため4カ月半程休業したのち出勤した分会員X1に対し3日半乗務させなかったことが不利益取扱いであるとされた例。
1302 就業上の差別
親睦会を脱退し分会に再加入したX1に対し、残業を禁止したことが不利益取扱いであるとされた例。
1302 就業上の差別
会社の配車係が遠距離の客の配車を非組合員に行ったことが、このことから直ちに会社の意図をうけたものとは認められないとされた例。
1302 就業上の差別
親睦会を脱退して分会に再加入したX2に対する配車は、当該配車があった時期は、いまだ分会に加入していなかったので、この配車をもって直ちに分会員に対する配車差別とはいえないとされた例。
1601 福利厚生上の差別
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
2803 その他
分会に対立する組織である親睦会が行った慰安会の費用を会社が負担したことは分会員を差別する不利益取扱いであるとされた例。
2240 説明・説得の程度
会社が賃上げについて何ら具体的根拠を示さず賃上げはできないと回答し、定年延長等についても具体的理由を明示せず要求を拒否している態度は不誠実であるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
本件申立て後団交が行われたが、会社の態度は従前と変わらないので分会は被救済利益を有するとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
4417 条件付命令・協議命令
乗務拒否に伴う逸失賃金額は当事者間で話し合いのうえ解決するのが妥当であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
4417 条件付命令・協議命令
残業禁止に伴う逸失額算定の基礎については、当事者間で各々資料を提出し、話し合いで解決するのが妥当であるとされた例。
4603 その他
会社が親睦会の旅行費用を負担したのは、福利厚生事業として支出したのであるから、この旅行に参加しなかったからといって、何ら具体的な旅行計画を有しない分会員に同等の金員を支給することは相当でないとされた例。
5200 除斥期間
本件申立ては、親睦会結成の日から1年以上経過し、その間に継続的に支配介入があったとする疎明がないので、申立期間に低触するとして却下した例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集84集474頁 |
評釈等情報 |
 
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