労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ネッスル 
事件番号  静岡地労委 昭和60年(不)第1号 
申立人  ネッスル日本労働組合島田支部 
被申立人  ネッスル 株式会社 
命令年月日  昭和63年 9月22日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)組合員22名の10年勤続表彰を行わなかったこと、(2)同組合員3名に対し社内住宅融資の利子補給を行わなかったこと、(3)同組合島田支部あての郵便物を第三者に引き渡したことが争われた事件で、(1)申立人組合を脱退した者を除く17名の勤続表彰、(2)同組合員3名に対する利子補給、(3)同支部あての郵便物引渡しの妨害等の禁止及びこれらに係る文書掲示を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、別表の申立人組合員17名に対し、10年の永年勤続表彰を行わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X1、X2及びX3に対し、同人らから昭和59年11月に利子補給の申請があったものとして扱い、「社内住宅融資に関する取扱い」の「利子補給」に関する規定に基づき決定し、利子補給を行わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合あての郵便物を第三者に引き渡すなどして、申立人組合の組合活動を妨害してはならない。
4 被申立人は、この命令交付後速やかに、縦60センチメートル、横 120センチメートルの白紙に、下記のとおり楷書で墨書し、これを島田工場の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。
 なお、年月日は掲示した初日を記載しなければならない。
              記
 当社が、貴組合に所属する組合員に対し、永年勤続表彰をしなかったこと、社内住宅融資制度に基づく利子補給を拒否したこと及び貴組合あて郵便物の引渡しを拒否したことは、いずれも不当労働行為であると静岡県地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を一切行うことのないよう誓約致します。
 昭和 年 月 日
  ネッスル日本労働組合島田支部
  執行委員長 X4 殿
              ネッスル株式会社
              代表取締役 Y1
5 その余の申立ては棄却する。
 (別表)
 番号  氏 名  番号  氏 名
  1   X4   11   X13
  2   X5   12   X14
  3   X6   13   X15
  4   X7   14   X16
  5   X8   15   X17
 6   X9   16   X18

  7   X10  17   X2
 8   X1
  9   X11
 10   X12 
判定の要旨  0200 宣伝活動
組合島田支部組合員が行った街頭宣伝活動は、その内容からみて格別過激であるともみられず、この街頭宣伝活動をもって直ちに違法な行為とみなすことはできないとされた例。

1601 福利厚生上の差別
組合員が行った利子補給制度の利用申込みに対して、利子補給を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
2901 組合無視
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社における永年勤続表彰の要件を一律表彰から誠実に勤務し、他の模範となる従業員に変更したうえ、以後別組合所属の従業員を全員表彰しながら、組合の組合員は全員表彰しなかったことが不当労働行為であるとされた例。

3106 その他の行為
会社が組合島田支部あての郵便物引き渡しを拒否した行為が支配介入に当たるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、仮処分決定に従って組合に郵便物を引き渡しているが、同組合の存在を否定する会社の態度に変更のないことからすれば、なお、救済の必要は存在するとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
本件申立て後、会社を退職したことに伴い組合を脱退したX6は、本件救済利益を放棄するとの意思表示した事実がないことから救済の対象とされた例。

4820 単一組織の支部・分会等
組合は適法に存在し、これを覆すに足る新たな事実も認められないとして、組合の不存在を前提とする会社の主張が斥けられた例。

4905 経営補助者
島田工場は会社組織の一構成部分にすぎず、法律上独立した権利義務の帰属主体ではないから、法27条の使用者に当らないので、実質的には同工場を含む会社のみ名宛人として表示した例。

5124 その他の審査手続
会社が組合からの団交申入れに対してこれを拒否しているが、労委はすでに会社に対しかかる理由により団交を拒否してはならないことを命じているので、本件については改めて命じるまでもないとされた例。

5142 申立意思の放棄
組合を脱退し別組合に加入した5人については、本件申立てを維持しないとの意思表示もあるので、救済の対象としなかった例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集84集222頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 昭和63年(不再)第51号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 8年 9月 4日 決定 
東京地裁 平成 8年(行ウ)第232号 救済命令の一部取消し  平成12年 2月23日 判決 
東京高裁 平成12年(行コ)第118号 控訴の棄却  平成13年 4月 9日 判決 
 
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