概要情報
事件名 |
三葉興業 |
事件番号 |
東京地労委 昭和57年(不)第85号
東京地労委 昭和57年(不)第106号
東京地労委 昭和57年(不)第107号
東京地労委 昭和57年(不)第122号
東京地労委 昭和58年(不)第43号
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申立人 |
全関東単一労働組合 |
被申立人 |
三葉興業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和62年10月20日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)映写技術の新勤務シフトを一方的に実施し、組合員X1の不就労時間の賃金をカットしたこと、(2)威力業務妨害容疑で逮捕・起訴された組合員X1に対し、自宅待機を命じ、更に嘱託契約期間が満了するまでの間、休職命令を発し、右期間満了をもって契約更新を拒否したこと、(3)組合員らに対し退職ないしは脱退を勧奨したこと等が争われた事件で、X1に対する賃金カット相当額の支払い、文書交付及び履行報告を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人三葉興業株式会社は、申立人全関東単一労働組合所属の組合員X1に対して行った新勤務シフト実施に伴う賃金カット(昭和57年9月分賃金および10月分賃金より控除した 100.5時間分)相当額の金員を同人に支払わなければならない。 2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全関東単一労働組合 執行委員長 X2 殿 三葉興業株式会社 代表取締役 Y1 当社が、昭和57年8月11日付で提示した新勤務シフト実施について、貴組合からの団体交渉の要求に応じないまま貴組合所属の組合員X1氏に対し新勤務シフト実施に伴う賃金カットを行ったことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注、年月日は、交付する日を記載すること。) 3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1106 契約更新拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
嘱託契約更新拒否は、新勤務シフト拒否、違法争議行為及び威力業務妨害などの勤務態様からみて相当な措置であり不当労働行為とはいえないとされた例。
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、一方的に新勤務シフトを実施し、それに従わない組合員に対し、賃金カットしたことが不当労働行為であるとされた例。
1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、X1に対する自宅待機を命じたのは、会社に対する威力業務妨害罪容疑で逮捕、起訴され、釈放後、同人にかわり不在中派遣者を受け入れていたため、同人の処置を検討するための期間を必要としたものであり不当労働行為とはいえないとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
申立人組合のストが組合の正当な活動の範囲を逸脱していることからすれば、X1の嘱託契約期間が満了するまでの間の休職命令を発することには合理性があり不当労働行為とはいえないとされた例。
2300 賃金・労働時間
新勤務シフト変更は、労働時間増となり労働条件の重要な変更事項にもかかわらず、就業規則の範囲内であるとし、団交に応じなかったことが団交拒否に当たるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社職制のX3に対する退職勧奨は、X3の年令、家庭の事情からの行為であり、組合脱退工作を狙ったものではなく不当労働行為とはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
支配人Y1のX4に対する「5万円あげるから組合をやめないか。」との発言は、支配介入行為と疑われるも、同支配人は、従業員の労働条件について会社を代表して発言できる地位にはなく、会社の意を体してなされた組合脱退工作とは認められないとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合の、新契約書の提出を強要したこと、及び団交拒否が不当労働行為であるとの申立てに対し、申立後、当事者であるX5ら2名の退職及び救済を求める意思のないことが明らかなことから棄却した例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集82集252頁 |
評釈等情報 |
 
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