概要情報
事件名 |
東京都石油業健康保険組合 |
事件番号 |
東京地労委 昭和60年(不)第65号
東京地労委 昭和60年(不)第78号
東京地労委 昭和60年(不)第108号
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申立人 |
総評全国一般東京一般労働組合 |
被申立人 |
東京都石油業健康保険組合 |
命令年月日 |
昭和62年 7月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
石油健保が、分会結成直後、分会員に対し、親や就職時の紹介者を介して脱退を働きかけたこと、分会の動向を監視したり、労基法36条の労働者代表選出に関する団交に誠実に応じなかったこと、交渉妥結前に一時金を従業員に支給したこと等が争われた事件で、脱退勧奨の禁止及びこれに関する文書交付を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人東京都石油業健康保険組合は、申立人組合員である従業員に対し、従業員の親や就職時の紹介者を通じて申立人組合からの脱退を働きかけてはならない。 2 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国一般東京一般労働組合 執行委員長 X1 殿 東京都石油業健康保険組合 理事長 Y1 当保険組合が、貴組合員X2氏および同X3氏に対して同氏らの親や就職時の紹介者を通じて貴組合からの脱退を働きかけたことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注、年月日は交付の日を記載すること。) 3 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2251 一方的決定・実施
年末一時金支給前の団交を避け、一時金を支給したことが組合軽視とするが、被申立人は支給に当たり、組合の了解を得ていること等からして、直ちに団交拒否とはいえないとされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
組合事務所の貸与に係る団交において、「双方協議の上決定する」旨確認したが、被申立人側の理事会で否認されたが、これをもって直ちにこれまでの団交が交渉権限のない者による不誠実団交であったとみることはできないとされた例。
2242 回答なし
団交において「理事会の許可を得なければ回答できない」との理由で回答を避けたことが不誠実団交を主張するが、そのような事実は存在せず、かつ、団交事項についても以後、継続協議ないし要求が認められていることから組合主張を斥けた例。
2245 引き延ばし
被申立人が、三六協定の労働者選出に係る合意事項を一方的に破棄したとするが、そもそも本案は労働者間で解決すべきことであって、たとえ労使間で団交の形式を取られたとしても労組法上の団交とは見做し難いとされた例。
2245 引き延ばし
被申立人が理由なく団交を拒否したとするが、当初の申入れには勤務時間中であること等の理由を明らかにしており、他日の申入れには応じているのであるから、団交拒否とはいえないとされた例。
2500 別組合の結成・援助
三六協定の労働者代表選出にあたり、署名活動を行ったX4が別労組委員長になったことのみをもって、被申立人が別組合を結成させ、申立人組合の壊滅を企図したとはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
分会結成の動きを知った被申立人が、分会員の親や就職時の紹介者を介して組合からの脱退工作を行ったことが支配介入であるとされた例。
3102 争議対抗手段
三六協定の労働者代表選出にあたり、一部係長が就業時間中に署名を求める際、組合加入の有無等を質すなど組合加入妨害があったとするが、これら行為を管理者が公認していないことから支配介入に当たらないとされた例。
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業種・規模 |
社会保険、社会福祉 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集82集36頁 |
評釈等情報 |
 
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