労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ぺんてる 
事件番号  中労委 昭和50年(不再)第89号 
再審査申立人  ぺんてる 株式会社 
再審査被申立人  X1 
再審査被申立人  全ぺんてる労働組合 
命令年月日  昭和59年12月27日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  昭和48年度賃上げ闘争における争議行為を理由に執行委員長を懲戒 解雇したこと、会社の部長、課長らが、(1)執行部批判を組合員に強要したり、(2)組合規約に基づかない臨時組合大会の開 催及び新執行部の選出を援助したり、(3)定期組合大会の開催を妨害したことが争われた事件で、執行委員長の原職復帰、バッ ク・ペイ及び支配介入の禁止並びにポスト・ノーティスを命じた初審命令を不服として会社から再審査の申立てがなされ、中労委 は、支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じた部分を変更したほかは、初審命令を維持した。 
命令主文  1 初審命令主文第2項及び第3項を次のとおり変更する。
 2)ぺんてる株式会社は、縦2メートル、横1メートルの白紙に下記のとおり墨書し、草加工場、吉川工場、川口倉庫のそれぞ れ正門付近の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
              記
                   年  月  日
  全ぺんてる労働組合
  執行委員長 X1 殿
  X1 殿
              ぺんてる株式会社
              代表取締役 Y1
 当社が、貴組合執行委員長X1氏を懲戒解雇したこと、貴組合執行部を批判するよう組合員らに働きかけたこと、組合規約に基 づかない臨時組合大会の開催を援助したこと及び貴組合の定期大会の開催を妨害したことは、いずれも不当労働行為であると中央 労働委員会によって認定されました。
 よって、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
2 その余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0417 法令・協約・信義則違反
1102 業務命令違反
労働協約に定めた争議行為の予告義務に違反しても争議行為全体が正当性を失うものではなく、同予告義務違反を執行委員長X1 に対する懲戒解雇理由とすることは失当とされた例。

0700 職場規律違反
ストライキ期間中、会社の許可なく会社施設内において看板・ポスターの掲示、ビラ配布、集会等を行ったことをもって執行委員 長X1に対する懲戒解雇の一理由とすることは相当でないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の部長、課長らが組合執行部を批判するよう組合員に働きかけたことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
会社の部長、課長らによる組合規約に基づかない臨時組合大会の開催及びX2執行部の選出に対する援助が、不当労働行為とされ た例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3100 スパイ
会社の部長、課長らが組合員に欠席するよう働きかけたり、出席しようとする組合員を監視したりして、組合の定期大会の開催を 妨害したことを不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
初審命令主文第2項において、「現在、執行部と自称するX2執行委員長らの執行部を賞揚、激励、便宜供与などの方法により保 護育成する言動をなし」てはならないと命じたことは、同執行部を否認するにとどまらず、その下にある組合員の団結そのものま で完全に否認しており、労委の権限を越えるものであるとの会社主張につき、初審命令主文第2項は、X2執行部及び組合員の団 結を否認するものではなく、会社が支配介入した結果選出されたX3執行部の後継執行部であるX2執行部を保護育成することに よって、組合に対して支配介入することを禁止したものであり、会社の主張には理由がないとされた例。

4830 代表者
解雇されたことにより従業員たる地位を失ったX1は組合の代表者ではないこと、臨時組合大会においてX1を執行委員長とする 執行部は総辞職し、現在の執行部は、本件救済申立てを追認又は維持する考えがないこと、X1を執行委員長とする執行部は、 X1以外に誰も執行委員がおらず、何らの組合活動を行っていないこと等を理由として、組合の本件救済申立ては、不適法な救済 申立てであり、初審命令は取り消されるべきであるとの会社主張につき、本件懲戒解雇については不当労働行為であるとして係争 中であること、上記臨時大会は、組合規約に基づいて招集されたものではなく、X1を代表者とする組合の存在を否認する根拠と なるものではないこと、また、活動が停滞しているのは、会社の不当労働行為の結果であることから、かかる事由を根拠として組 合の救済申立てを不適法であると論難することは許されず、組合の本件救済申立てを適法な救済申立てであるとした初審判断は相 当であるとされた例。

業種・規模  その他の製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集76集618頁 
評釈等情報  労働判例 1985年5月1日  447号 86頁 
中央労働時報 昭和60年4月10日  730号 13頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉地労委 昭和49年(不)第4号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和50年12月 9日 決定 
 
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