概要情報
事件名 |
ぺんてる |
事件番号 |
埼玉地労委昭和49年(不)第4号
|
申立人 |
X1 |
申立人 |
全ぺんてる労働組合 |
被申立人 |
ぺんてる 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年12月 9日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
組合執行委員長X1を協約違反の争議行為を行ったこと等を理由に懲戒解雇し、現執行部を中傷、誹謗し、組合大会開催を妨害した事件で原職復帰、バック・ペイ、支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人会社は、申立人X1に対する昭和49年5月7日付懲戒解雇処分を撤回し、同人を 原職に復帰させ、解雇の日の翌日から原職に復帰するまでの間に受くべきであった賃金相当 額を支払わねばならない。 2 被申立人会社は、申立人X1を執行委員長とする執行部を誹謗、中傷し、現在、執行部と 自称するX2執行委員長らの執行部を賞揚、激励、便宜供与などの方法により保護育成する 言動をなし、又X1を執行委員長とする執行部が執行委員会及び組合大会を開催することを 妨害するなどの行為により支配介入してはならない。 3 被申立人会社は、本命令書交付の日の翌日から下記文面の誓約書を縦2m横1mのベニヤ 板に墨書し、被申立人会社草加工場、吉川工場、川口事業所の構内の組合員の見易き場所に 各1枚づつ10日間掲示しなけれならない。 記 誓 約 書 当社は、貴組合執行委員長X1氏に対し、組合活動を理由として不当な解雇をなし、かつ、組合大会を妨害するなど、貴組合の運営に支配介入したことを陳謝するとともに、今後かかる行為を繰り返さないことを誓約致します。 昭和 年 月 日 ぺんてる株式会社 代表取締役 Y1 全ぺんてる労働組合 執行委員長 X1殿 組合員 X1殿 |
判定の要旨 |
0410 目的・手続き
0418 組合の統制違反
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件ストは、有効に確立したスト権にもとづき、事実上も全組合員の過半数により、ストであるとの明確な認識のもとに、その自由な意思によって支持され実行されたものであり、団体意思形成の要請は満されているので、正当であると判断され、これらを理由に組合執行委員長を懲戒解雇したことは、同人の組合に対する指導力に脅威を感じ、これを嫌悪してなした不当労働行為である。
0410 目的・手続き
組合が、会社の許可なく会社施設内で看板の設置、ポスター掲示、ビラの配布及び構内での集会をなしたことは認められるが、いずれもスト中の行為であり、その場所、枚数、方法及び内容などからみて、企業内組合として組織されている現状をみればあえて不当とはなし難い程度のものである。
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
今後、会社が申立人執行部に対し誹謗や中傷を加え、これと対立する別執行部に対しては保護育成する態度に出ることが予想され、かつ、X2執行部が定期大会を開催する場合、会社がこれを妨害することも予想されるから、予防の必要性を認めて将来にわたる同種支配介入の行為の禁止を命令する。
4830 代表者
会社は、被解雇者が組合代表者であることなど8項目をあげて、申立人組合の申立ては不適法であると主張するが、解雇を争っている被解雇者は組合規約上組合員の資格が認められていること、組合規約の手続きによらない臨時大会で行なわれた申立人執行部の辞任及びこれと対立する別執行部の選出は無効であること等から、会社主張は理由がなく、本件申立人組合は申立適格ありと判断する。
|
業種・規模 |
その他の製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集57集343頁 |
評釈等情報 |
 
|