概要情報
事件名 |
滋賀交通 |
事件番号 |
滋賀地労委 昭和57年(不)第3号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合近畿地区バス産業支部 |
被申立人 |
滋賀交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和59年12月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
年功序列により車両の担当替えを行うとの従来の慣行に反し、組合員4名の車両担当替えを行わなかったこと、組合員の所属する営業所に新型貸切観光バスを配置しなかったことが争われた事件で、車両担当替え及び営業所への新型貸切観光バスの配置について、従来の慣行に反し、組合員を不利益に扱うことの禁止、組合員4名が、より新しい車両の担当となるよう組合と協議のうえ車両担当替えを行うこと及び各営業所へのポスト・ノーティスを命じ、各車庫へのポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、今後、京都府下営業所の車両担当替および滋賀県下各営業所への新型貸切観光バスの配置について、従来の慣行に反し、申立人組合員を不利益に扱ってはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合京都分会員X1、同X2、同X3、および同X4が、より新しい車両の担当となるよう申立人組合と協議のうえ、車両担当替を行わなくてはならない。 3 被申立人会社は、本命令書受領後10日以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に下記文書を明瞭に記載し、被申立人会社各営業所の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全日本運輸一般労働組合近畿地区バス産業支部 執行委員長 X3 殿 滋賀交通株式会社 代表取締役 Y1 会社が、昭和56年12月の車両担当替以降貴組合京都分会員に対し、従来慣行どおりの車両担当替を行わなかったこと、および昭和56年11月20日以降滋賀県下において、貴組合水口分会員の所属する営業所に新型貸切観光バスを配置しなかったことは、貴組合員を不利益に扱うとともに、貴組合の弱体化をはかる不当労働行為であると滋賀県地方労働委員会により認定されました。 よって、今後このような行為を繰り返さないよう誓約します。 以 上 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
年功序列により車両の担当替えを行うとの従来の慣行に反し、組合員4名の車両担当替えを行わなかったことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員が所属する営業所に新型貸切観光バスを配置しなかったことが不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
3900 「不利益の範囲」
担当車両が新車両に変更されないことが不利益に当たるとされた例。
4417 条件付命令・協議命令
組合員4名の担当車を新車両に変更しなかったことに対する救済として、同人らの担当すべき車両を特定し、それら車両の担当とするよう求めたのに対し、これら車両には他に担当者がおり、直ちにこれを是正することは相当の混乱を生ぜしめることが予想されるとして、今後の不利益取扱いの禁止及び年功相当の車両の担当となるよう、その方法及び時期につき労使協議のうえ担当替えを行うよう命じた例。
4414 その他の不利益の場合
組合員が所属する営業所に新型貸切観光バスを配置しなかったことに対する救済として、56年型以降の新車を再配置するよう求めたのに対し、再配置を命ずれば混乱を来すことが予想されるとして、新型貸切観光バスの配置にあたっては、従来の慣行を尊重し、新車が特定の営業所に偏在しないようにし、組合員が不利益を蒙ることのないよう命じた例。
4838 申立ての承継
組織変更により分離独立した組合が、申立てを承継し、申立人としての適格性を有するとされた例。
5147 その他
貸切観光バスの配置、担当車両の決定は、経営権の専権事項であり、経営権を侵害する命令を求める本件申立ては却下されるべきであるとの会社主張につき、同決定が組合員の労働条件に不利益を及ぼしていると主張されているのであるから、単にこれらの事項が経営権に属する事柄であるとして却下することはできないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集494頁 |
評釈等情報 |
 
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