労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  一富士 
事件番号  中労委 昭和55年(不再)第22号 
中労委 昭和55年(不再)第23号 
再審査申立人  総評大阪一般合同労働組合 
再審査申立人  株式会社 一富士 
再審査被申立人  株式会社 一富士 
再審査被申立人  総評大阪一般合同労働組合 
命令年月日  昭和59年 6月20日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  (1)昭和50年・同51年の賃上げ及び夏期一時金問題、休憩時間を一方的に変更し、これに応じない組合員について賃金カットを行ったこと等についての不誠実団交、(2)就業規則変更問題についての団交拒否、(3)新就業規則に組合活動を規制する条項を設けたこと、(4)新就業規則に会社施設内での示威行進及び集会の禁止等の各条項を規定したこと、(5)休憩時間を変更し、それに応じない組合員の賃金をカットしたこと、(6)昭和50年・同51年の賃上げ及び夏期一時金についての低査定、(7)単純で初歩的な作業の割当て、(8)多数の職制の配置、(9)上記(7)の取扱いに対する抗議行動による不就労を理由とする懲戒処分及び賃金カットが争われた事件で、初審で救済された(1)、(3)及び(7)に係る部分について使用者側から、また、却下または棄却されたその他について組合側から、それぞれ再審査申立てがなされ、中労委は、初審命令主文の文言を一部変更したほかは、初審命令を維持した。 
命令主文  1 初審命令主文を次のとおり変更する。
(1)第2項中「してはならない。」を「するにあたっては、その組合活動を不当に抑制するような運用をしてはならない。」に改める。
(2)第3項中「と同様にしなければならない。」を「に比し、単純な作業のみを命ずることにより、不利益に取り扱ってはならない。」に改める。
2 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
組合員X1が約2時間にわたり職場を離れて、職制らに抗議を続け、その抗議行動中にY1係長の足をけったりしたことが、組合活動として正当な範囲を逸脱したものであり、これを理由とする減給処分及び処分に伴う減給として賃金カットしたことは、不当労働行為に当たらないとされた例。

1204 スト・カット
組合員X2ら4名が、職務上の不利益取扱いに対する抗議のため、長時間にわたって職場を離脱して不就労を続けたことに対し、同人らの不就労時間に対応する賃金カットしたことは、不当労働行為に当たらないとした初審判断は相当であるとされた例。

1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
事業所再開にあたって休憩時間を変更し、それに応じない組合員の賃金から不就労時間に相応する賃金をカットしたことは、いずれも不当労働行為に当たらないとした初審判断が相当とされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和50年、同51年の各賃上げ及び夏期一時金の査定について、組合員らを他の従業員に比べて低く査定したことが不当労働行為に当たるとの組合主張につき、昭和50年賃上げ及び同年夏期一時金については、不当労働行為に当たるとの疎明が不十分であるとして、また、昭和51年賃上げ及び同年夏期一時金については、会社が一方的に実施、支給しているものの、未だ妥結しているとは認められないとして、申立てを棄却した初審判断は結論において相当であるとされた例。

1302 就業上の差別
事業所再開後組合員にもっぱら初歩的で単純な作業を命じたことが、不当労働行為に当たるとした初審命令は相当であるとされた例。

2240 説明・説得の程度
昭和51年賃上げについて、数回にわたり団交を行い、その間に、賃上げ額の上積みを回答しているが、組合が会社回答を評価し、交渉方針を決定するのに必要と考えられる勤務評定表の評定基準等について説明をしていないこと、組合支部は、賃上げ分は内金として受領する旨通告していること等からすれば、賃上げ問題は未だ解決したものとは認められず、同問題に関する誠意ある団交の応諾を命じた初審命令は相当とされた例。

2240 説明・説得の程度
昭和51年夏期一時金について、数回にわたり団交を行い、その間に、上積みを回答するなどしているが、査定については説明をしていないこと、会社自身、組合員が同一時金を受領したことをもって、同問題が組合支部との間で解決したとは思っていなかったともみられることなどからすれば、同問題が解決済みで団交を行う意義が失われたとも認められず、団交応諾を命じた初審命令は相当であるとされた例。

2244 特定条件の固執
休憩時間を一方的に変更したこと、しかも、その理由を説明せず、一方的に賃金を控除したことについて、組合支部が交渉を求めたのに対して、変更された休憩時間を遵守することのみを求めることに終始する会社の態度は不当労働行為に当たるとした初審命令は相当であるとされた例。

2253 受取り拒否・申入れなし
団交を申し入れたことの疎明がないとして、就業規則変更問題に関する団交の開催を求める組合の申立てを棄却した初審命令が支持された例。

3105 事業廃止、工場移転・売却
事業所再開にあたっての就業規則の変更によって設けられた組合活動を規制する条項が、施設の管理及び秩序維持や食堂委託契約による会社の責任を果たすための必要の範囲を超え、正当な組合活動を抑圧ないし威嚇する効果をもつものであり、その限りで同条項に不当労働行為性が認められるとされた例。

3105 事業廃止、工場移転・売却
新就業規則において、休憩時間中の外出の届出、所持品の点検要求に対する応諾義務並びに会社施設内等での示威行進及び集会の禁止等の各条項を規定したことをもって、会社が組合の活動を規制・妨害する介入を行ったものということはできず、これを不当労働行為に当たらないとした初審判断は相当であるとされた例。

3100 スパイ
事業所再開後に職制を多数配置したことは、不当労働行為に当たるとの組合の主張につき、それら職制が組合員の就労状況を監視する等のいやがらせを行ったとの疎明が不十分であるとして、初審命令が不当労働行為に当たらないとしたことは、結論において相当であるとされた例。

4404 復帰後の労働条件等
事業所再開後組合員にもっぱら初歩的で単純な作業を命じたことに対する救済として、初審命令主文中、組合員の作業内容につき、「事業所閉鎖前と同様にしなければならない。」と命じた部分を、「事業所閉鎖前に比し、単純な作業のみを命ずることにより、不利益に取り扱ってはならない。」に変更された例。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
新就業規則において、施設の管理及び秩序維持に必要な範囲を超えて組合活動を規制する条項を設けたことに対する救済として、同条項の組合活動に関する部分につき、「組合員に適用してはならない。」旨命じた初審命令主文を、「組合員に適用するにあたっては、その組合活動を不当に抑制するような運用をしてはならない。」に変更した例。

5200 除斥期間
組合員X2ら3名に対する譴責処分の撤回を求める申立てが、行為の日から1年を経過した事件にかかるものであるとして、却下された例。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集75集580頁 
評釈等情報  中央労働時報 1984年9月10日  719号 16頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委 昭和51年(不)第129号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年 3月17日 決定 
大阪地労委 昭和53年(不)第25号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和55年 3月17日 決定 
 
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