労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  一冨士 
事件番号  大阪地労委 昭和51年(不)第129号 
大阪地労委 昭和53年(不)第25号 
申立人  総評大阪一般合同労働組合 
被申立人  株式会社 一冨士 
命令年月日  昭和55年 3月17日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  昭和50年・51年各賃上げ及び夏期一時金等の団交を誠意をもって応じなかったこと、就業規則を一方的に改正し組合活動を規制する規定を設けたこと、休憩時間を一方的に変更してこれに応じなかった組合員の賃金カットを行ったこと、事業再開後、初歩的な作業に従事させ、これに抗議した組合員を譴責処分し賃金カットしたこと等が争われた事件で、昭和51年賃上げ・同年夏期一時金及び休憩時間に関する団交応諾、新就業規則の組合活動に関する部分の組合員に対する適用禁止及び組合員の作業内容を事業所閉鎖前と同様に取り扱うことを命じ、申立日から1年以上前の各譴責処分及び賃金カットに関する申立てについては却下、50年賃上げ・同年夏期一時金に関する団交応諾、休憩時間の変更及びこれに伴う賃金カット等については申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、昭和51年賃上げ、同年夏期一時金及び休憩時間の各事項について、申立人と速やかに団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人は、就業規則(昭和50年2月1日改正)第55条第1号及び第77条第13号中、組合活動に関する部分を、申立人組合の一冨士支部組合員に適用してはならない。
3 被申立人は、申立人組合の一冨士支部組合員の作業内容を、大阪国際ビルディング事業所閉鎖前と同様にしなければならない。
4 申立人の、X1、X2、X3、X4に対する昭和51年12月25日付け・昭和52年1月6日付け各譴責処分及び昭和52年1月26日実施の賃金カット並びにX1、X2、X3に対する昭和52年3月5日付け譴責処分に関する申立ては却下する。
5 申立人のその他の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
職務上の不利益取扱いに抗議して長時間にわたって就労しなかったことが正当な組合活動の範囲を逸脱したものとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
賃上げ及び夏期一時金の一方的支給や査定による不利益取扱いの救済申立てが、これらに関する交渉の要求を行っていることなどからみれば、末だ交渉が完了していないとみるほかはないとして棄却された例。

1204 スト・カット
休憩時間の一方的変更が不当労働行為ではないから、これに応じない組合員に対する賃金カットも不当労働行為ではないとされた例。

1204 スト・カット
職務上の不利益取扱いに抗議してなされた不就労を理由に賃金カットしたことが不当労働行為ではないとされた例。

1302 就業上の差別
事業所再開後、組合員に対し初歩的な作業や機械的単純作業に従事させたことが、組合員であるが故になされた不利益取扱いであるとされた例。

2230 不穏当な態度
賃上げ(50年)に関する団交は数回にわたって行われており、団交中断は組合側の暴力的行為に起因するものであり不当労働行為ではないとされた例。

2253 受取り拒否・申入れなし
夏期一時金(50年)は一方的に支給されているが、その後の団交で協議の意思がある旨の会社申入れに対し、組合は団交申入れをしておらず、不当労働行為とはいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
賃上げ(51年)を一方的に実施し、団交において査定部分の算定に必要な資料を明らかにしなかったことが誠意ある団交とはいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
夏期一時金(51年)を一方的に支給し、団交において査定部分の勤務率を明らかにしなかったことが誠意ある団交とはいえないとされた例。

2249 その他使用者の態度
休憩時間に関する団交申入れに対し、文書で会社主張を行うのみで団交に応じなかったことが不当労働行為とされた例。

3106 その他の行為
新就業規則の「組合活動」に関する規定の制定が、組合ないし支部の活動を規制することを企図してなされた支配介入とされた例。

3106 その他の行為
休憩時間を一方的に変更し実施したことにつき、これにより組合活動に著しい支障をきたしたとの疎明はなく不当労働行為ではないとされた例。

3106 その他の行為
事業所再開の際、従前に比べ役職者を多数配置したことにつき、組合活動の支障となったとの疎明がないとして申立てが棄却された例。

5200 除斥期間
不就労等に対する各譴責処分及び減給処分に関する救済申立てのうち、処分の日から1年以上経過しているものについて申立てが却下された例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集67集344頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 昭和55年(不再)第22号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和59年 6月20日 決定 
中労委 昭和55年(不再)第23号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和59年 6月20日 決定 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約523KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。