概要情報
事件名 |
黒川乳業 |
事件番号 |
中労委 昭和56年(不再)第30号
中労委 昭和56年(不再)第31号
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再審査申立人 |
関西単一労働組合 |
再審査申立人 |
黒川乳業 株式会社 |
再審査被申立人 |
黒川乳業 株式会社 |
再審査被申立人 |
関西単一労働組合 |
命令年月日 |
昭和59年 4月18日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、(1)会社職制、労務顧問らが組合事務所に押しかけ組合及び共闘会議作成のビラを持ち去ったこと、(2)労務顧問の妻が地方在住の組合員の親元に組合によっていやがらせや脅しを受けた等の組合を非難する手紙を出したこと、(3)労務顧問が組合ビラの配布を阻止する言動を行ったこと、(4)会社職制らが別組合の上部団体の役員が会社内で行った組合員に対する暴力行為を放置したこと、(5)総務部長が組合員が就業時間中に組合用務のための電話をかけたことに対して賃金カットの問題が出てくる旨の発言をしたことが、不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)、(2)についての文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した初審命令を不服として労使双方から再審査申立てがなされたが、中労委は再審査申立てにはいずれも理由がないとして棄却した。 |
命令主文 |
本件各審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2611 その他の従業員の言動
2700 威嚇・暴力行為
別組合員であるX1らがX2委員長及びX3組合員の自宅へ押しかけ、家人へ脅迫的言動を行ったことは、会社がX1らと共謀して行わせた組合破壊ではなく、不当労働行為にあたらないとされた例。
2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
労務顧問の夫人が組合員X4の親元に出した手紙は、組合の自宅抗議行動に対する抗議にとどまらず、X4を組合から脱退ないし離反させる目的で労務顧問が夫人に書かせたものとみるのが相当であり、これを不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
労務顧問がX5分会長に対し、ビラの修正ないし撤回を求めたことは、不当労働行為にあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
総務部長が組合員X3に対し、組合の行ったストライキに関し発言したこと、さらに、X5分会長の電話抗議に関し発言したことは、不当労働行為にあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
別組合の上部団体の役員であるX1らの暴行により3名の組合員が負傷したとして、X2委員長が病気欠勤届をする旨の連絡をしたことに対する総務部長の発言は、従来の慣行に反し不当労働行為であるとする組合の主張が斥けられた例。
2700 威嚇・暴力行為
3411 その他の従業員の言動
別組合の上部団体の役員であるX1らの組合員に対する暴力行為は、会社がX1らと共謀し暴力行為を放置し、それに加担したとまでみることはできず、不当労働行為にあたらないとされた例。
2900 非組合員の優遇
会社が組合員3名の病気欠勤届に対し、賃金カットしたうえで、別途カット分を支給する方法をとったことは、不可解であるとしても負傷した診断書をもとに病気欠勤分の賃金を支払っていることから、会社の行為が別組合の上部団体の役員であるX1らの暴力行為を隠ぺいするためのものとは断定しがたく、不当労働行為にあたらないとされた例。
3102 争議対抗手段
労務顧問が分会長X5の自宅へ出向き、組合から奪いとったビラ1枚を置いてきた行為は、組合活動を破壊しようとしたものとはいえないとされた例。
3102 争議対抗手段
3411 その他の従業員の言動
会社職制らが組合事務所に押しかけ、労務顧問らが組合のビラを持ち去った行為は、組合の抗議行動に対する抗議や中止要請の域を超えるもので、このことは組合を威嚇し、組合活動を抑圧するものであり、これを不当労働行為であるとした初審判断は相当であり、また、これらの行為は、労務顧問らの個人的な行為ではなく、会社に帰責される行為であると認めるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集558頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1984年7月10日 717号 21頁 
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