概要情報
事件名 |
新光タクシー |
事件番号 |
福岡地労委 昭和57年(不)第15号
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申立人 |
福岡地区合同労働組合 |
被申立人 |
有限会社 新光タクシー |
命令年月日 |
昭和58年12月23日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社構内での無断ビラ配布や会社前路上におけるその支援行動を行った組合員らに対し、暴行を加えたことが争われた事件で、暴力行使による組合活動への支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、正当な組合活動としてのビラの配布及びその支援行動を行う申立人組合員に対し、暴行を加えることにより申立人の組合活動に支配介入してはならない。 2 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記文書を縦 1.5メートル、横1メートルの白紙に明瞭に楷書で墨書し、被申立人会社食堂入口の従業員の見易い場所に2週間掲示しなければならない。 記 福岡地区合同労働組合 代表執行委員 X1 殿 有限会社 新光タクシー 代表取締役 Y1 下記の行為は、福岡県地方労働委員会の命令により労働組合法第7条第3号の不当労働行為と認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 1 昭和56年5月16日午前7時30分過ぎ、当社職員が当社構内にてビラを配布中の組合員X1氏に対し暴行を加え、傷害を負わせたこと。 2 同時刻ごろ、当社職員が、当社前路上において同上ビラ配布活動支援中の組合員X2氏に対し暴行を加えたこと。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
組合員X1の解雇撤回・職場復帰を求める組合ビラを会社構内で無断配布したことが、ビラの内容が事実に基づかず企業秩序を乱すものと認めるに足りる会社側の反論もないこと、配布場所は、会社構内の営業車両と従業員の自家用車の駐車場で、かつ、通路も兼ねる場所で、表門・裏門から出入構しあるいは構内で休憩する乗務員らに対しビラを配布するには、同所が組合によって欠くことのできない場所であったこと、配布時刻も、ビラ配布決定の当初は、随時入構して配布したり、乗務員の休憩時間内に配布していること、さらにその後の早朝ビラも乗務員が出勤する午前7時30分前後であって、いずれも会社に業務上の支障が生じたとの疎明もないこと、配布者も組合員1名ないし2名にとどまること等から会社が受忍すべき範囲内のものであって、正当な組合活動にあたるとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
ビラの配布及びその支援行動を行う組合員に対し、暴行を加えたことが不当労働行為とされた例。
4617 その他
謝罪を命じる救済命令が憲法に違反し、誓約として合意を強制されるものではない旨の会社主張につき、労働委員会の機能としてポスト・ノーティスを命じ得るのは労働委員会の裁量権の範囲内に含まれるものであるとして、会社主張を斥けた例。
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
「暴力でもって組合員活動を妨害してはならない」との組合の救済申立ては結局「構内ビラ配布活動を承認せよ」ということを当然の前提とするものであるが、もともと地労委が会社に対し構内ビラ配布を承認せよと強制する権限を有するものでなく、また、将来会社が組合員に暴行傷害を加えると認めるべき証拠は全くないとの会社主張につき、労働委員会の機能は、組合の正当な活動に対し会社がこれに介入を行うなど不当労働行為に及んだ場合には、これら会社の不当労働行為のなかりし原状に回復し、もって団結権の侵害を排除するとともに、将来の正常な労使関係秩序の回復、確保に資することを目的とするものであるから、会社の暴行・傷害行為が明らかな不当労働行為である以上、同様の行為を繰り返さないよう労働委員会が命じ得るのは当然であり、会社の上記主張は失当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集74集743頁 |
評釈等情報 |
 
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