概要情報
事件名 |
泉都別府タクシー |
事件番号 |
大分地労委 昭和53年(不)第3号
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申立人 |
全自交泉都別府タクシー労働組合承継人全自交別府自動車交通労働組合 |
被申立人 |
泉都別府タクシー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和57年 8月30日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
労働条件の低下を伴う会社再建案の受け入れを拒否している組合員2名に対し、通常ならば廃車代替すべき古い車両を割当てるとともに、7年間にわたり年3回の一時金を支給せず、さらには慣行化している定期昇給を実施しなかったことが争われた事件で、直近の時期に無線機付新車を割当てること、各期の一時金及び定期昇給分についてバック・ペイを行うこと並びにポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人会社は、申立人組合組合員X1、同X2に対し、直近の時期に、従来の慣行に従い、無線機付新車を担当車両として、それぞれ割当てなければならない。 2 被申立人会社は、申立人組合組合員X2、同X1に対して、昭和50年8月以降昭和56年3月迄の毎期の一時金を、同会社の非乗務員に、別表I記載の日時に支給した毎期の一人平均支給額を基準にして、合計金 3,221,312円を支給しなければならない。 3 被申立人会社は、 (1)申立人組合組合員X2に対して、別表II記載の昭和51年5月から昭和57年5月迄の累積定期昇給分合計金69,100円を支給しなければならない。 (2)申立人組合組合員X1に対して、別表III記載の昭和51年5月から昭和57年5月迄の累積定期昇給分合計金65,500円を支給しなければならない。 4 被申立人会社は、本命令書を受領した日から10日以内に、縦 110センチメートル、横80センチメートルの白紙に、下記のとおりわかりやすく楷書で墨書して、被申立人会社本社集計室の従業員の見やすい場所に10日間掲げ、従業員に周知させなければならない。 記 昭和 年 月 日 全自交別府自動車交通労働組合 執行委員長 X3 殿 泉都別府タクシー株式会社 代表取締役 Y1 当会社の下記の行為は、大分県地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。当会社は、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 記 1 貴組合組合員X2、同X1の担当車両について、昭和52年10月末頃、新規登録後4年を経過した古い車両を廃車台替せずそのまま使用させ、不利益取扱したこと。 2 同X2、同X1に対して、昭和50年8月以降昭和56年3月迄の毎期の一時金を支給せず、不利益取扱したこと。 3 同X2、同X1に対して、昭和51年5月以降昭和57年5月迄定期昇給となった累積昇給分を支給せず、不利益取扱したこと。 |
判定の要旨 |
4838 申立ての承継
救済申立て後、他組合と合同して新組合を設立しながら新組合から救済申立ての承継の申出がなかったことにつき、新旧組合間には実質的に同一性が保たれており、合同による一般的包括的承継の効果として、申立ては新組合設立と同時に新組合が承継したというべきであり、労働委員会規則第34条第1項第7号を適用して却下することは許されない。
1201 支払い遅延・給付差別
一時金に関する団交にあたり零回答に終始し、もって会社再建案の受け入れを拒否している組合員2名に対し、昭和50年8月以降昭和56年3月までの間、年3回の一時金を支払わなかったことが、反組合的感情に基づく不利益取扱いである。
1201 支払い遅延・給付差別
賃上げ要求に対して誠意のない態度をとり、定期昇給協定が成立していないとして、会社再建築案の受け入れを拒否している組合員2名に対し、昭和51年5月から57年5月までの間、従前慣行的に支給してきた定期昇給を認めず、支給しなかったことが、反組合的感情に基づく不利益取扱いである。
1302 就業上の差別
会社再建案の受け入れを拒否している組合員2名に対し、従来の慣行を無視し、通常ならば廃車代替すべき古い車輛を割り当て、使用させたことが、組合の弱体化、壊滅化を意図した不利益取扱いである。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集72集206頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1983年1月1日 396号 105頁 
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