労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東京電波 
事件番号  東京地労委 昭和56年(不)第29号 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方南部支部東京電波パート分会 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方南部支部 
被申立人  東京電波 株式会社 
命令年月日  昭和57年 8月 3日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)業務上の支障が生ずることを理由として、分会員8名の一斉年次有給休暇の請求を拒否し、欠勤扱いとしたこと、(2)使用目的を告げず反抗的であるとの理由で、分会員X1の年次有給休暇の請求を拒否し、欠勤扱いとしたこと、(3)組合員らの年末一時金について著しく低い支給率を回答するのみで、未だ支給しないこと、(4)時給額改訂の取りきめに際して、組合を排除したこと、(5)勤続手当および皆勤手当の支給打切り、年間特別有給休暇の設定、組合事務所の貸与等について誠実に団交に応じなかったことが争われた事件で、分会員X1の欠勤扱いの撤回とバック・ペイ((2))、年末一時金について他の従業員と同様の支給率での支給((3))、組合運営に対する支配介入の禁止((4))、勤続手当および皆勤手当の支給打切り等についての団交の応諾((5))及びポスト・ノーティスを命じ、(1)に関する申立てについては棄却した。 
命令主文  主   文
1 被申立人東京電波株式会社は、申立人総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部東京電波パート分会所属の分会員X1に対して行った、昭和55年11月20日の欠勤扱いを撤回し、同年11月分賃金でカットした金額を同人に支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人分会所属の分会員X2、同X1に対して、昭和55年年末一時金として、 1.2か月の割合で算定した金額をそれぞれ支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人支部および同分会を排除して、申立人分会に所属する分会員の時給額改訂の取り決めを個別的に行うなどの方法によって、申立人両組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人会社は、下記事項について、申立人支部および同分会と誠実に団体交渉を行わなければならない。
(1)勤続手当および皆勤手当の支給打切りについて。
(2)メーデーおよび分会大会などの年間特別有給休暇の設定について。
(3)組合事務所の貸与について。
5 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
             記
                 昭和 年 月 日
総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部
支部長 X3 殿
総評全国一般労働組合東京地方本部南部支部
東京電波パート分会
分会長 X2 殿
                東京電波株式会社
                代表取締役 Y1
 当社の行った下記の行為は、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会で、認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注、年月日は、文書を提示した日を記載すること。)
                記
1 貴組合所属の分会員X1が請求した、55年11月20日の年次有給休暇を拒否して、欠勤扱いとし、賃金カットしたこと。
2 昭和55年年末一時金の支給について、貴組合所属の分会員に対し、 0.3月分の差別回答を行い、かつX2、X1両氏に対して、他の従業員と同様の支給率で同年末一時金を支給していないこと。
3 貴組合に所属する分会員の時給額を改訂、実施するに当り、貴組合を排除して、個別的な取り決めを行ったこと。
4 貴組合から申し入れのあった、(1)勤続手当、皆勤手当の支給打切り、(2)メーデー、分会大会などの年間特別有給休暇の設定、(3)組合事務所の貸与を議題とする団体交渉に、誠実に応じなかったこと。
6 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
昭和55年年末一時金について、非組合員には支給しながら、分会員には著しく低い支給率の差別回答のみしつづけ、未だ支給していないことが分会脱会者へは高率で支給していること等からみて、不当労働行為である。

1600 休暇の取扱い
業務上の支障が生ずることを理由として、分会員X2ら8名の「闘争勝利祝賀会」準備のための一斉年次有給休暇の請求を認めず、欠勤扱いしたことにつき、使用者の主張するような事情が認められるので、不当労働行為ではない。

1600 休暇の取扱い
分会員X1の年次有給休暇の請求に対し、使用目的を告げず反抗的であるとの理由で、請求を拒否し、欠勤扱いにしたことにつき、業務上の支障に何ら言及しておらず、分会員であるが故になされた不当労働行為である。

2244 特定条件の固執
勤続手当及び皆勤手当の支給打切りに関する交渉について、就業規則上廃止したとか、解雇撤回時におけるバックペイの算定基準にこれらの手当が入っていないのは分会員が認めていたとか主張して、誠実に団交に応じないことが不当労働行為とされた。

2249 その他使用者の態度
メーデーや分会大会などの年間特別有給休暇の設定に関する団交において、誠実に対応しなかったとして不当労働行為とされた。

2240 説明・説得の程度
将来組合事務所を貸与することを組合に約束していながら、場所がないという理由のみで団交を拒否するのは正当とはいえず、将来設置されうる目途等具体的な内容について、誠意をもって交渉をつくすことが必要である。

2901 組合無視
時給額改訂について、組合と交渉継続中にもかかわらず、組合の頭越しに、個別的に組合員と取り決めを行ったことが、組合運営に対する支配介入である。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集149頁 
評釈等情報  労働判例 1982年12月1日  394号 65頁 
労働経済判例速報 昭和58年1月20日 1139号(34巻2号) 21頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 昭和57年(不再)第51号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和58年 9月 7日 決定 
 
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