労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日野車体工業 
事件番号  中労委 昭和51年(不再)第59号 
中労委 昭和51年(不再)第60号 
中労委 昭和51年(不再)第83号 
再審査申立人  日野車体工業 株式会社(第59号・第60号・第61号) 
再審査被申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部日野車体工業支部 
再審査被申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部 
命令年月日  昭和57年 5月19日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  長期出張命令を拒否した組合活動家X1を7日間の出勤停止処分にしたこと、女子組合員X2を総務課テレックス係から現場部門へ、さらに総務課へ配転させて草刈作業や清掃車の運転を命じたこと、支部副執行委員長を配転のうえ、役付である工手の職を解任したこと、執行委員X3を工手の職から解任したこと、技術職の支部執行委員長ら3名を配転し、雑用業務に従事させたことが争われた事件で、組合活動家X1に対する出勤停止処分の取消し及びその間の諸給与相当額の支払い、女子組合員X2に対する配転取消し及び原職復帰、副執行委員長と執行委員X3に対する配転取消し、原職復帰、職制上の工手任命及び工手手当の支払い、婦人部副部長に対する配転取消し及び原職復帰並びにこれらに関する誓約文の交付及び掲示並びに履行後の文書報告を命じた初審命令について、使用者から再審査の申立てがなされ、中労委は初審命令の一部文言を訂正したほかは、再審査申立てを棄却した。 
命令主文  主     文
1 石川地労委昭和49年(不)第1号事件命令主文第3項及び第4項中「原職に復帰させ、工手に任命する」を「工手に復帰させる」に改める。
2 石川地労委昭和50年(不)第4号事件命令主文第3項中「実施後」を「を履行した後」に改める。
3 石川地労委昭和50年(不)第1号事件命令主文第4項中「実施後」を「を履行した後」に改める。
4 中労委昭和51年(不再)第59号事件、中労委昭和51年(不再)第60号事件及び中労委昭和51年(不再)第83号事件に係るその余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
支部執行委員X3が常に15分遅れて出勤したことを理由とする同人の工手職の解任と工手手当の不支給が、同人の遅刻が会社の労働時間の変更申入れを別組合が受諾したのに対し、従前どおりの労使協定が存続するとして、これに反対していた組合の指令に従ったことによるものであり、このような変則勤務状態は週休2日制を拒否した組合員が土曜日に出勤しても、管理職が作業指示を与えていたこと等からみて、これを不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1300 転勤・配転
長年テレックス業務を担当していた女子組合員を現場部門に配転させたことが不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1300 転勤・配転
組合副執行委員長を配転のうえ、職制上の役付である工手を解任し、工手手当を打切ったことが不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1302 就業上の差別
女子組合員X2がテレックス係員として長期間、同一業務にたずさわっていた事実は、会社もこれを適材適所とし、かつ、その仕事が半ば専門化していたとみるべきであり、同人に対し従来、臨時雑役人夫にさせていた草刈を継続的に行わせ、さらに、産業用清掃車の運転に連日従事させたことが組合員である故の不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1300 転勤・配転
女子事務職員の支部青年婦人部副部長を女子作業員の不足を理由に製造部門に配転し雑役作業をさせたことが、組合活動を理由としてなされた不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1300 転勤・配転
技能職の支部副執行委員長を営繕係に配転し、さらにその後塗装作業に従事させたことが活発な組合活動を続けていることに対する報復としてなされたものであり、これを不利益取扱いであるとした初審命令は相当であるとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1に対する関連会社への研修出張の理由には業務上の必要性がなくはないが、当初2人を予定しておきながら最終的には同人1人に絞り、しかも出張を拒否されると簡単に出張計画を諦め、同人に代わる者を出さないなど、むしろ同人の出張を狙いとしていたことがみられることから、同人に対する出張拒否を理由とする出勤停止処分は、同人の組合活動に起因する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
一応の原状回復がなされたとしても、本件の場合、差別的配転がなされ、その再発のおそれがないとはいえないことから、特に今後かかる行為をくり返さない旨の誓約を会社に対して命ずることが必要であり、初審命令は、結論において相当であるとされた例。

4400 原職相当職への復帰を命じたもの
総務課テレックス係から現場部門へ、さらに総務課の雑役への配転が一体として不当労働行為と認められる場合の復帰を命ずべき原職は、総務課テレックス係と解するのが妥当であるとした初審命令が相当であるとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
再三にわたる配転が著しく妥当性を欠く場合、その原状回復に当たっては特に誓約書の交付と掲示を原職復帰に併せ命じた初審命令は相当であるとされた例。

4823 上部団体
支部組合員の地本加盟が確認されないので地本は申立人適格を欠くとの会社主張を斥けた初審命令は相当であるとされた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集71集627頁 
評釈等情報  中央労働時報 1982年8月10日  686号 19頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
石川地労委 昭和49年(不)第1号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和51年 6月19日 決定 
 
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