概要情報
事件名 |
泉自動車 |
事件番号 |
東京地労委 昭和52年(不)第36号
東京地労委 昭和52年(不)第62号
東京地労委 昭和52年(不)第95号
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申立人 |
X1 他5名 |
被申立人 |
泉自動車 株式会社 |
命令年月日 |
昭和56年 7月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
ビラ配布をした申立人X1に対する部長ら職制の言動、申立人X2の単純業務への配置、申立人X3又はX1に対する係長らの残業拒否の言動、係長らによるX2に対するつるし上げ、これらに抗議した申立人X4に対する昇給停止処分、抗議ビラを課長宅あて郵送したX2らに対する部長らの抗議追求、学歴詐称を理由とするX1、X2及びX3の懲戒解雇、経歴詐称を理由とした申立人X5に対する減給処分が争われた事件で、申立人らの正当な組合活動に対する介入の禁止、3名の懲戒解雇の撤回、原職復帰及びバック・ペイ、X4に対する昇給停止及びX5に対する減給処分の撤回及び差額の支払いを命じ、残業拒否の言動等支配介入行為の申立ての一部、ポスト・ノーティス及び退職したX6にかかる申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人泉自動車株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5に対し、会 社職制らをしてつるし上げなどを行わせ、また、X1に対し嫌がらせとして継続的に不良品 処理や梱包業務を命ずることによって、申立人らの正当な組合活動に介入してはならない。 2 被申立人会社は、X1、X2、X3に対する昭和52年6月10日付懲戒解雇を撤回し同人ら を原職に復帰させ、同人らが解雇された日の翌日から原職に復帰するまでの間に受けるはず であった賃金相当額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、X4に対する昭和52年6月17日付昇給停止処分およびX5に対する昭和 52年8月20日付減給処分を撤回し、同人らが懲戒処分をうけなければ受けるはずであった賃 金と現に受けている賃金との差額を支払わなければならない。 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0800 経歴詐称
組合の反執行部派の活動家X1ら3人を学歴詐称を理由に懲戒解雇に付したことにつき、学歴詐称により業務上の支障を来したとは認められず、同人らの活発な組合活動を契機に判明した学歴詐称に藉口して、同人らを排除しようとした不当労働行為であるとした例。
1302 就業上の差別
配転趣旨に反し申立人X2を単純業務に従事させたことが、嫌がらせ行為であり、不当労働行為とされた例。
1400 制裁処分
係長らによる組合員つるし上げに抗議した申立人X4に対し、上司への侮辱発言及びこれに伴う事情聴取拒否を理由に昇給停止処分に付したことにつき、一方の係長らの責任を不問としながらなされたものである上、処分も酷に過ぎるものであるとして不当労働行為にあたるとした例。
1400 制裁処分
経歴詐称を理由に申立人X5を減給処分としたことが、詐称の事実を知ってから3カ月を経てなされていることなどから、不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
部長ら職制がビラを配布した申立人X1に対してなした抗議非難の言動が、本人の行動に穏当を欠いた点もあることから、不当労働行為でないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
係長らの申立人X3又はX2に対する残業をさせない等の言動が、当日残業が少なかったことなどから、不当労働行為にあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
多数の係長らが、申立人X2らに対し、同人らの経歴詐称や組合員宅へのビラ配布等を理由につるし上げを行ったことなどにつき、会社は黙認していたとうかがわれるとして、不当労働行為になるとした例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
申立人X2らが課長の自宅に抗議ビラを郵送したことに対し、部長ら多数が同人らを抗議追求したことが不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
申立人X2に対する設計課職員約15名のつるし上げについて、係長がこれに参加しておらず、組合員間の紛争であるとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
救済申立て後会社を任意退職した申立人X6については、会社職制らによる言動などについての被救済利益は存しないとされた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集71頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和56年11月15日 371号 79頁 
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