労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本サーキット工業 
事件番号  中労委 昭和52年(不再)第66号 
中労委 昭和52年(不再)第67号 
再審査申立人  日本サーキット工業 株式会社 
再審査申立人  総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部 
再審査被申立人  日本サーキット工業 株式会社 
再審査被申立人  総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部 
命令年月日  昭和55年 7月 2日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  労委あるいは裁判所に証人として出頭した支部組合員に対し会社側証人と差別して賃金・精皆勤手当をカットしたこと、支部代表者として労委に出頭した者に対して賃金及び同手当をカットしたこと、職場離脱による賃金カット等について団交を拒否したことなどが争われた事件で、労委出頭者に対する賃金カット等による支配介入の禁止、証人として出頭した者に対する賃金及び精皆勤手当相当額の支払い、代表者として出頭した者に対する精皆勤手当相当額の支払いをそれぞれ命じ、申立前1年以上の賃金カット等の申立てについては却下し、団交については棄却した初審命令のうち、労使双方からの再審申立てに基づき、支部代表者として出頭した者に対する精皆勤手当相当額の支払い命令を取り消し、団交については棄却命令を取り消して団交応諾を命じ、その余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  1. 初審命令主文第1項中「場合に、欠勤扱いとして賃金及び精皆勤手当をカットして」を「場合における賃金及び精皆勤手当の支給について、会社申請の証人として出頭する従業員と差別して取り扱うことにより」に改める。
2. 初審命令主文第3項を次のとおり改める。
 3. 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部と、同支部の要求する別記「団交条項」に関して、団体交渉を行なわなければならない。
3. その余の本件各再審査申立てを棄却する。
(別 記)
             団交条項
1.(1) 昭和51年6月16日Y1班長が部下であるX1支部副委員長に対して「残業ができないなら設備ではいらない。明日から来なくてよい。X1君はもう設備係ではない。」と申し渡し、その後、X1が催促しても仕事の指示をしなかった件。
 (2) X1副委員長が愛労委出席のため、Y1班長に対して「組合業務の為の早退届」を提出したのに対し、Y1班長が「四・五日前か一週間前ならよいが一日前では認められない」と称し、これまでの慣例に反し、早退届けの受理を拒否した件。
 (3) X1副委員長の事務机、手洗場、飲み水、部品棚等のある設備係の部屋にY1班長が6月18日鍵を掛け、X1副委員長が鍵を掛けないよう請求すると、「電話がかかってきても出なくていい。手はどこかよそで洗ってくれ。水を飲みたければポットに入れておいて飲んでくれ」と称し、X1を仕事場から締め出した件。
2. 昭和52年 2月 9日Y1班長が部下である申立人組合X1副委員長に対して「仕事をするな、会社をやめて家に帰れ」と指示し、X1副委員長を仕事場から排除した件。
3. X1副委員長に対する昭和52年 2月分賃金の支払に際し、昭和52年 2月 9日分について賃金カットをなした件。
4. X1、X2、X3ら申立人組合役員3名に対する昭和52年 2月分賃金の支払に際し、昭和52年 2月10日1時間分各賃金カットをなした件。
5. 上記1, 2, 3, 4記載の各件について、その理由と是正について。
6. その他上記関連事項。 
判定の要旨  1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
労働委員会あるいは裁判所への証人出頭は公の職務を遂行するものというべきであり、組合または会社申請いずれの証人でも同様に取扱うべきところ、本件のように会社申請の証人には有給としたのに対し、支部申請の証人を無給としたことは支部組合員なるが故の差別的取扱いであり、不当労働行為であるといわざるをえない。

1203 その他給与決定上の取扱い
3201 不当労働行為とされなかった例
救済申立人組合の代表者の労委への出頭の場合は、証人の場合と異なり組合活動と認められ、組合業務による外出等は賃金を控除するとの協定締結以降、基本給のみならず精皆勤手当もカットされていたことが認められるから、本件精皆勤手当カットをもって労働委員会に不当労働行為救済申立てをしたことを理由とする不利益取扱いであるということはできない(初審命令のうち同手当の支払いを命じた部分は取り消す)。

1203 その他給与決定上の取扱い
支部申請の証人と会社申請の証人の賃金等支給に関する差別扱いが不当労働行為とされた例。

1203 その他給与決定上の取扱い
3201 不当労働行為とされなかった例
組合代表者の労委への出頭に対し精皆勤手当をカットしたことが労委救済申立てを理由とする不利益取扱いとはいえないとされた例。

2300 賃金・労働時間
職場離脱に対する賃金カット等の問題が団交条項になじまないとして団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2901 組合無視
支部申請の証人と会社申請の証人の賃金等支給に関する差別扱いが不当労働行為とされた例。

3200 不当労働行為とされた例
組合代表者の労委への出頭に対し精皆勤手当をカットしたことが労委救済申立てを理由とする不当労働行為ではないとされた例。

5200 除斥期間
支部組合員の証人出頭日及び支部代表者としての労委出頭日の各賃金・精皆勤手当カットは、賃金支払い日にそれぞれ終了している1回限りの行為であり、申立日前1年前のものは審査の対象とすることができないとした初審判断を相当とした例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集68集769頁 
評釈等情報  中央労働時報 昭和55年11月10日  657号 25頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛知地労委 昭和51年(不)第22号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和52年 9月30日 決定 
 
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