概要情報
事件名 |
日本サーキット工業 |
事件番号 |
愛知地労委 昭和51年(不)第22号
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申立人 |
総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部 |
被申立人 |
日本サーキット工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和52年 9月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
労委あるいは裁判所に証人として出頭した支部組合員に対し会社側申請の証人と差別して賃金・精皆勤手当をカットし、支部代表者の労委出頭に対しても賃金等をカットしたこと、職場離脱による賃金カット等についての団交申入れを団交になじまないとして、拒否したことが争われた事件で、支配介入の禁止、証人としての出頭についてはカットした賃金・精皆勤手当相当額の支給を、代表者としての出頭については同精皆勤手当相当額の支給をそれぞれ命じ、同カットの徒過期間にかかる申立部分は却下し、団交については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部の組合員が、労働委員会及び裁判所に証人として出頭する場合に、欠勤扱いとして賃金及び精皆勤手当をカットして同支部の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部の組合員X1、同X2及び同X3に対し、同人らが労働委員会及び裁判所に証人として出頭した各日にそれぞれカットした別記1(省略)記載の賃金相当額及び精皆勤手当相当額を支払わなければならない。 3 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人総評全国金属労働組合愛知地方本部日本サーキット工業支部の執行委員長X1及び前執行委員長X2に対し、同人らが、同支部の申立てに係る不当労働行為救済申立事件の審査のため、同支部の代表者として労働委員会に出頭した各日にそれぞれカットした別記2(省略)記載の精皆勤手当相当額を支払わなければならない。 4 申立人の昭和50年11月16日以前のカットされた賃金及び精皆勤手当相当額の支払いに関する申立ては却下する。 5 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0125 組織・職場活動(含証人の行為)
1203 その他給与決定上の取扱い
1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3300 不当労働行為とされた例
労働委員会あるいは裁判所への証人出頭は、公の職務を執行するものというべきであり、組合活動に当らず、組合または会社申請いずれの証人でも同様に取扱うべきところ、証人として出頭した支部組合員に対してのみ、賃金・精勤手当をカットした行為は、当時の労使関係を併せ考えると、支部組合員を不利益に取扱い、もって団結権の維持・回復を図ろうとする支部の活動を阻止せんとした7条1、3、4号にあたる不当労働行為である。
3300 不当労働行為とされた例
救済申立人である組合代表者の労委への出頭に対する本件賃金カットは不就労時間に対応するもので不当視することはできないが、精皆勤手当のカットは、取扱いを区々にしていて会社のなしたカットには合理性を見出し難く、精皆勤手当の支払方法の詳細についての会社の疎明もない以上、救済申立てをしたことを理由とする7条4号の不利益取扱いであると推認するほかはない。
5200 除斥期間
支部組合員の証人出頭日及び支部代表者としての労委出頭日の各賃金・精勤手当カットは賃金支払日に終了しているそれぞれ一回限りの行為であり、申立日前1年前のものは審査の対象ではないとされた例。
2300 賃金・労働時間
2400 その他
無断職場離脱に対する賃金カット等に関する団交を拒否したことが不当労働行為ではないとされた例。
4413 給与上の不利益の場合
4416 将来にわたる不作為を命じた例
地労委及び中労委に別件救済申立て事件が係属しており、今後も支部申請証人に対する不利益取扱いの発生するおそれがないとは断定されないとして、支配介入の禁止及びカットされた賃金・精皆勤手当相当額の支給を命じた例。
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業種・規模 |
鉄鋼業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集62集294頁 |
評釈等情報 |
 
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