概要情報
事件名 |
シンガポール航空 |
事件番号 |
中労委 昭和53年(不再)第39号
中労委 昭和53年(不再)第40号
|
再審査申立人 |
シンガポール・エアラインズ・リミテッド |
再審査被申立人 |
シンガポール航空労働組合 |
命令年月日 |
昭和55年 4月16日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
|
事件概要 |
委員長の解雇撤回闘争等のためのビラ貼付に対抗して他社割引切符の発行を停止したこと、年末一時金の支給を遅延し春闘の回答を引き延ばしたこと、裁判所証人に対する会社職制の言動などが争われた事件で、ビラ貼付を理由とする他社割引切符の発行停止・春闘の回答引き延ばし・裁判所証人に対する管理職による威圧的言動などによる支配介入の禁止及び文書交付を命じ、年末一時金の支払い遅延及び裁判所証人に対する課長の言動についての申立てを棄却した初審命令を支持したが、中労委判断を明確にするため初審命令の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第1項を次のとおり変更する。 1 被申立人は、本件のような組合のビラ貼付に対する対抗行為として、昭和51年6月に行った他社割引切符の発行停止及び昭和52年4月から5月にかけて行った春闘回答の引き延ばしなどのような行為により申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、裁判所の証人となった組合員に対し、管理職が威迫的言動をして申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 初審命令主文第2項を第3項とし、同項の記中、「(1)貴組合のビラ貼付を理由に、」を「(1)貴組合のビラ貼付に対する対抗行為として、」に改め、第3項を第4項とし、第4項を第5項とする。 3 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3102 争議対抗手段
会社施設に無断でなされたビラ貼付に対抗して行った他社割引切符の発行停止措置は、他社割引切符の制度が業界の慣行ともなっていて、一定期間勤続の資格さえあれば形式審査のみで交付されるもので、保護に値する享受利益ということができ、事前に組合に通告することなく、既発行の他社割引切符を取り上げるなど穏当を欠くものであり、ビラ貼付行為に対する合理的かつ相当な対抗行為といえない。
0200 宣伝活動
委員長解雇闘争におけるビラ貼付は、無断でなされたとはいえ、その記載内容、貼付の態様等からみて、正当な組合活動の範囲を著しく逸脱したものとまでは認められないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
裁判所に証人として出頭予定の組合員に対する上司である課長の言動が、その程度では威圧行為とはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
裁判所に証人として出頭予定の組合員に対する支配人の言動が、証言に対する牽制等であり、これを不当労働行為とした初審判断が相当とされた例。
3020 組合活動への制約
3800 行為の結果・その他
組合が全てのビラを撤去しないことを理由に年末一時金の支払いを一日遅らせたことが不当労働行為とまではいえないとされた例。
3102 争議対抗手段
組合のビラ貼付等を理由に春闘の回答を引き延ばしたことが、組合の弱体化を意図してなされた不当労働行為であるとの初審判断が相当とされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
ポスト・ノーティスについての申立てが、初審命令の文書交付で足りるとされた例。
|
業種・規模 |
航空運輸業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集681頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 昭和55年7月10日 652号 13頁 
労働法律旬報 1980年8月25日 1006号 42頁 
|