事件名 |
熊本高圧工業 |
事件番号 |
熊本地労委 昭和52年(不)第4号
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申立人 |
総評全国一般労働組合熊本地方本部 |
被申立人 |
熊本高圧工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和55年 6月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会結成後の年末一時金交渉中に、労働条件協議等の機能を併わせ持った親睦会を発足させたこと、組合員2名に対し戒告書を手交したり業務命令書を出したこと、業務態度不良を理由に副分会長の安全運転管理者の職務を解任し手当を削減したことが争われた事件で、減額された手当額の一部のバックペイ、ポスト・ノーティスを命じ、戒告書及び業務命令書に係る申立てについては棄却した。なお、親睦会の発足については、不当労働行為の成立は認めながら救済申立てがないとして救済はしなかった。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対し金24,000円を支払わなければならない。 2 被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に下記の陳謝文を縦 0.8メートル、横 1.2メートルの板に墨書し、これを被申立人会社構内の市道に面した見やすい場所に7日間掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 会社は、貴組合員 X1が組合活動の中心的役割を果たしたことを嫌悪して、昭和52年6月27日同人の安全運転管理者の職務を解きました。 上記の行為は、不当労働行為であると熊本県地方労働委員会において認定されました。今後は、このような不当労働行為を行わないよう留意します。 昭和 年 月 日 熊本高圧工業株式会社 代表取締役 Y1 総評全国一般労働組合熊本地方本部 執行局員 X2 殿 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2501 親睦団体の利用
年末一時金交渉中に発足した親睦会は、社長発案による会社主導のものと認められること、同会の性格として労働条件につき協議し意見を具申する機能をも伴わせ持たせていることなどから考えると、既に組合が存在するのに、同会を将来は組合と対抗する団体として育成していこうとする意図が会社にあったと推認されるから、組合運営に対する支配介入に当たる。
1201 支払い遅延・給付差別
1604 その他
業務態度不良を理由に副分会長の安全運転管理者の職務を解任し手当を削減したことが不当労働行為とされた例。
3106 その他の行為
組合員2名に対し無届欠勤及び指示伝達事項違反等を理由に戒告書を手交したり、業務命令書を出したことが、従業員の勤務の厳正等を図るためで不当労働行為ではないとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
安全運転管理者の解任につき原職復帰の救済申立てがないところから、運転管理者手当のうち職務給的部分を除く生活給的部分のみのバックペイが相当とされた例。
4600 対抗的団体に対する措置(解散・団交禁止・協定破棄・経費援助の停止等)に触れた例
労働条件協議等の機能を併わせ持った親睦会を発足させたことが支配介入とされながらこれに係る救済の申立てがないので救済しないとされた例。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集67集528頁 |
評釈等情報 |
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