概要情報
事件名 |
幸袋タクシー |
事件番号 |
福岡地労委 昭和52年(不)第40号
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申立人 |
全自交福岡地方連合会直鞍地区タクシー労働組合 |
被申立人 |
有限会社 幸袋タクシー |
命令年月日 |
昭和54年10月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合員に対し無線装置の取り外しや配車差別したこと、黄犬契約を結んだこと、団交に不誠意な態度で臨んだこと、組合員4名に解雇予告したこと及び組合員3名に乗務拒否したこと等が争われた事件で、解雇予告の取消し、原職復帰及びバックペイ、乗務拒否の禁止及び乗務までのバックペイ、無線装置の取り外し及び配車差別の禁止、誠意ある団交応諾、黄犬契約の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、車両の修理、仕業点検及び社会保険の加入手続等の差別取扱いに対する救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、昭和52年12月7日付X1、同月8日付X2、同じくX3及び同じくX4に対する解雇予告を取り消し、原職に復帰させ、この間、同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2. 被申立人は、X5、X6及びX7の乗務の申出を拒否してはならない。 また、被申立人は、X5については昭和53年3月10日以降、X6については同年4月17日以降及びX7については同年6月27日以降、それぞれ乗務させるまでの間の賃金相当額を支払わなければならない。 3. 被申立人は、申立人組合員に対し、無線装置の取り外し及び配車の差別取扱いをしてはならない。 4. 被申立人は、申立人の団体交渉申入れに対し、誠意をもって、これに応じなければならない。 5. 被申立人は、従業員の雇用に際し、労働組合加入及び組合活動の禁止を誓約させることにより、組合の運営に支配介入してはならない。 6. 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記の文書を縦2メートル、横 1.5メートルの白紙に明瞭に墨書して、本社の従業員の見やすいところに10日間掲示しなければならない。
記
下記の行為について福岡県地方労働委員会により、不当労働行為と判断されましたので、その是正措置を講じるとともに、今後このような行為をいたしません。
(1) 昭和52年12月7日付X1、同月8日付X2、同じくX3及び同じくX4に対して、それぞれ解雇予告を通知したこと。
(2) X5、X6及びX7に対して、それぞれ乗務を拒否したこと。
(3) 全自交福岡地方連合会直鞍地区タクシー労働組合幸袋タクシー支部組合員に対して、無線装置の取り外し及び配車の差別取扱をしたこと。
(4) 全自交福岡地方連合会直鞍地区タクシー労働組合と誠意をもって団体交渉をしなかったこと。
(5) 従業員の雇用に際し、労働組合加入及び組合活動の禁止を誓約させたこと。
昭和 年 月 日
全自交福岡地方連合会直鞍地区タクシー労働組合
執行委員長 X8 殿
全自交福岡地方連合会直鞍地区タクシー労働組合幸袋タクシー支部
支 部 長 X7 殿
有限会社 幸袋タクシー
代表取締役 Y1
7. 被申立人は、本命令の履行状況を、速やかに、当委員会に報告しなければならない。
8. 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4407 バックペイの支払い方法
組合員X2が死亡し、相続人から申立承継の申出がなされているので、会社は、X2に対する救済措置のうち、バックペイについては、同人の死亡日までの賃金相当額を相続人に支払わなければならない。
4831 組織変更
旧組合の解散と同時に結成された申立組合支部は上部団体を異にしているものの両組合はいずれも会社従業員をもって組織され、本件申立時においても役員をはじめ構成員は、ほぼ同一メンバーである。以上旧組合解散、申立組合支部結成及び上部団体の変更の事実は、労働組合に対する使用者の行為を判断するうえにおいて、何ら異なる評価をすべき理由とはなり得ないのであって旧組合に対する会社の行為をも、本件救済申立ての不当労働行為を構成する事実として採用することができる。
0700 職場規律違反
3600 処分の差別
組合員X1ら4名の無断欠勤、業務拒否等を理由とする解雇予告が過酷であること等から不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
組合員3名に対する無断欠勤等を理由とする業務拒否が不当労働行為とされた例。
1302 就業上の差別
組合員に対し、老朽車輛を配車したことが不利益取扱いとされた例
1501 黄犬契約
2625 非組合員化の言動
黄犬契約をしたことが不利益取扱いであると同時に支配介入行為にも該当するとされた例。
1604 その他
組合の無線配車指示拒否闘争中止後における会社の無線装置の取り外しが、組合員に対する不利益取扱いであるとされた例。
2240 説明・説得の程度
3回にわたる団交が開催されたものの、団交開催までの経緯、交渉の頻度、程度、交渉における会社側の交渉態度等からみて不誠実団交とされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集66集366頁 |
評釈等情報 |
 
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