労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日産金属工業 
事件番号  大阪地労委昭和53年(不)第4号 
申立人  総評全国金属労働組合日産金属支部 
被申立人  日産金属工業 株式会社 代表清算人 Y1 
被申立人  日産金属工業 株式会社 清算人 Y2 
命令年月日  昭和54年10月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  もともと同一企業の二つの工場であったO社とS社のうち、O社が経営不振を理由に、企業閉鎖し、組合員全員を解雇し賃金、一時金を支払わなかったこと及び組合員1名に対し労災補償金を支払わなかったこと等が争われた事件で、両者共同による賃金、一時金についてのバックペイ(年5分の割合による金員の付加)の支払い(但しS社はその解散した日までのバックペイ分)労災被災者に対する労働災害一時金及び休業補償給付の法定外補償金(いずれも年5分の割合による金員の付加)の支払い、事業再開した場合における原職又は原職相当職復帰及び文書手交を命じ、7月ごろ採用された組合員1名に対する当該年の夏季一時金の支払い、事業再開を求る救済申立てについては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人日産金属工業株式会社(大阪市所在、以下「大阪日産金属」という)は、別記組合員ら(ただし、X1をのぞく)に対して、下記の措置を含め、昭和52年12月26日付け解雇がなされなかったものとして取り扱わなければならない。
              記
(1) X2、X3、X4及びX5については、昭和52年 7月分以降、X6については、同年10月分以降、X7については、同年11月分以降の各賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた額を支払うこと。
(2) 昭和52年夏季一時金相当額として、各自の賃金1ヵ月分プラス一律10万円及び昭和52年12月3日を始期としてこれに年率5分を乗じた額を支払うこと。
2. 被申立人大阪日産金属は、X1に対して、昭和52年10月分以降の賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。
3. 被申立人日産金属工業株式会社(滋賀県甲賀郡所在)は、別記組合員らに対して、大阪日産金属が上記1の(1)、(2)及び2に基づき、これら組合員に支払うべき賃金等相当額のうち、昭和53年3月までの分(ただし、これに年率5分を乗じた額を含む)を大阪日産金属と共同して支払わなければならない。
4. 被申立人らは、X7に対して、共同して次の措置を取らなければならない。
(1) 昭和51年11月2日締結の協定に基づく労働災害一時金として金 350万円及び昭和52年12月26日を始期としてこれに年率5分を乗じた額を支払うこと。
(2) 昭和52年9月分及び10月分の休業補償給付の法定外補償金及びこれに年率5分を乗じた額を支払うこと。
5. 被申立人らは、事業を再開した場合には、その名称の如何を問わず、別記組合員らを、解散前の原職又は原職相当職に速やかに復帰させなければならない。
6. 被申立人らは、下記の文書を申立人に対して速やかに手交しなければならない。
              記
                     年  月  日
  申立人代表者あて
                   被申立人ら代表者名
 昭和52年12月20日、大阪市所在の日産金属工業株式会社を解散し、同月26日付けで貴組合員らを解雇したことは、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、陳謝します。
7. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  4916 企業に影響力を持つ者
旧社の2工場を分離して設立されたS社とO社は、法形式上は別個の法人ではあるが、分離に際して申立て支部に対する責任において一体であることを確認していると共に業務内容、出資者、役員及び取引先を共通にし、かつ、O社独自の経営活動が認められない事情等からすれば、実質上同一の企業であるとみるのが相当であり、S社は、O社の行った本件解雇等の申立てについて被申立人適格を有するものと解するのが相当である。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
解雇した組合員7名に対する賃金の未払いが、たとえ供託したとしても不当労働行為に該当するとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
労使間で合意した52年夏季一時金の不払いが不当労働行為とされた例

1601 福利厚生上の差別
組合員X7に対して、労働災害一時金を支給しなかったことが不当労働行為とされた例。

1601 福利厚生上の差別
労働災害の法定外補償金を組合員X7に支給しなかったことが、たとえそれを供託したとしても不当労働行為に該当するとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
旧社O工場を分離設立されたO社が会社を解散し、支給組合員全員を解雇した一連の行為が、支部の壊滅を企図してなされた不当労働行為とされた例。

4407 バックペイの支払い方法
O社の不当労働行為についてS社もその責任を負わなければならないが、S社は既に解散しているので、賃金等の支払いに関する責任も解散当日までとされた例。

5008 その他
Y3主任を取締役として設立されたS興業がO社の後継会社であると断定することは、困難であり、O社の解散が擬装であるとも、企業の再開の企図があるとも認められないとして、企業再開の申立てが棄却された例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集66集337頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地裁昭和53年(行ウ)第118号 救済命令の全部取消し  昭和56年12月21日 判決 
 
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