概要情報
事件名 |
日産金属工業 |
事件番号 |
大阪地裁昭和53年(行ウ)第118号
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原告 |
日産金属工業 株式会社 (滋賀日産) |
原告 |
日産金属工業 株式会社 (大阪日産) |
被告 |
大阪地方労働委員会 |
被告参加人 |
総評全国金属労働組合日産金属支部 |
判決年月日 |
昭和56年12月21日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
企業解散を理由とする組合員6名の解雇をめぐる事件で、バック・ペイ及び事業再開時には原職等に再雇用優先等を命じた地労委の一部救済命令(54・10・5)を不服として会社側から行訴が提起されていた(54・10・16)が、地裁は命令を全部取消した。 |
判決主文 |
1 被告が、昭和53年(不)第4号不当労働行為救済申立事件について昭和54年10月5日付で なした不当労働行為救済命令主文第1ないし第6項は、これを取消す。 2 訴訟費用中、本訴により生じた費用は被告の負担とし、補助参加により生じた費用は補助 参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
企業の廃止が仮に組合活動を嫌悪・阻止してする目的でなされたとしても、専ら組合活動を嫌悪・阻止する目的で企業を廃止するような権利の濫用にわたることのない限り、会社の解散は有効であり、それに伴う解雇も不当労働行為を構成しない。
1201 支払い遅延・給付差別
組合員に賃金を支払わなかったのは経営不振によるもので、不当労働行為を構成するものでなく、しかも、その後会社は未払賃金を弁済供託して、支払債務は消滅しているから、その支払を命じた救済命令は取り消されるべきである。
1201 支払い遅延・給付差別
6341 事実認定の誤り
労委は、労使間に夏季一時金を支払うとの合意があったと主張するが、当該協定書は証拠として提出されていないこと等から考えて、夏季一時金の不払いを不当労働行為としてその支払を命じた労委命令は違法である。
1201 支払い遅延・給付差別
6341 事実認定の誤り
X1に対する賃金未払は、会社の経営不振によるものであり、また、X1が会社の解散前後から従業員であることを否定しているところからすると、不当労働行為とはいえず、労委の救済命令は違法である。
1602 精神・生活上の不利益
6341 事実認定の誤り
X2に対する労災補償金の未払は、会社の経営不振によるもので、不当労働行為を構成するものではなく、しかも、その後会社は労災補償金を弁済供託して、支払債務は消滅しているから、その支払を命じた救済命令は違法である。
4909 事業分離後の新企業体
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
O社の解散、解雇等は不当労働行為といえないから、救済命令が、旧会社の2工場を分離してO社と共に設立したS社に対し、バック・ペイや原職復帰を命ずることはできず、命令は違法である。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集17集306頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 32巻6号 921頁 
判例タイムズ 474号 203頁 
労働判例 379号 42頁 
季刊労働法 三浦恵司 124号 116頁 
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