労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  宇徳陸運 
事件番号  神奈川地労委 昭和53年(不)第19号 
申立人  全日本港湾労働組合関東地方横浜支部 
申立人  X1 
被申立人  宇徳陸運 株式会社 
命令年月日  昭和54年 2月15日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  別組合を脱退して申立人支部に加入した支部組合員(申立人)を、別組合とのユ・シ協定に基づいて解雇した事件で、原職復帰及びバックペイ(年5分相当額加算)、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1に対し、次の措置を含め昭和53年4月8日づけ解雇がなかったと同様の状態にしなければならない。
(1) 原職又は原職相当職に復帰させること。
(2) 解雇の日から原職復帰までの間支払われるべきはずであった賃金、諸手当相当額に年5分相当額を加算して支払うこと。
2 被申立人は、本命令交付の日から5日以内に縦50センチメートル、横1メートル以上の白紙に下記のとおり墨書し、全従業員の見易い場所3か所に14日間掲示しなければならない。
誓  約  書
 貴組合の組合員X1氏に対する昭和53年4月8日づけの解雇について、神奈川県地方労働委員会から労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 会社は、これにつき深く反省するとともに、今後はかかる行為を再びくりかえさないことを誓約いたします。
昭和  年  月  日
X1 殿
全日本港湾労働組合関東地方横浜支部
 執行委員長 X2 殿
宇徳陸運株式会社
代表取締役 Y1 
判定の要旨  1000 ユニオン・ショップ
同一企業内に2つの労働組合が併存する場合原則として一方の組合と締結されたユ・シ協定の効力は他方の組合に加入している者に対しては及ばず、例外的に他方組合又はその組合員が団結権の保障を受けるに値しない場合にのみユ・シ協定の効力が及ぶと解すべきである。本件申立人X1は別労組の路線を不満として脱退し、同時に申立人支部に加盟したものであり、支部が団結権の保障に値しない労働組合であるとも認められず、X1の脱退が法の保護に値しない背信的な行為にあたるともいえないから、申立人X1にユ・シ協定を及ぼし、解雇することは申立人支部の組織拡大を阻止する支配介入行為となり、申立人X1に対しては、申立人支部に加入した故の解雇にあたると言わざるをえない。

1000 ユニオン・ショップ
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は別組合脱退者らが申立組合支部に加入した直後にユ・シ協定検討小委員会設置の提案を行うなど申立組合支部勢力の拡大に懸念を持っていたことがうかがわれると同時に、ユ・シ協定締結時労使協議会において多くの適用除外を定めた前例があるのに労使協議会に計ることもなく申立人X1の別労組除名と同時に就労を禁じ、常勤役員会で同労組脱退を翻意させるよう同人に働きかけ、同人が翻意した場合再度別労組に受け入れさせるよう別労組及び別労連を説得しておくことを決めるなどしており、会社が申立人支部に対する介入の意図を持っていたことが認められ、しかも、申立人X1の翻意不可能と知るや間髪を入れず解雇していることからすれば、やむなく解雇したとの会社の主張は肯認できない。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集65集129頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
横浜地裁 昭和54年(行ク)第8号 全部認容  昭和54年 7月17日 決定 
 
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