労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  桂川精螺製作所 
事件番号  東京地労委昭和48年(不)第46号 
東京地労委昭和48年(不)第49号 
東京地労委昭和49年(不)第123号 
東京地労委昭和50年(不)第50号 
東京地労委昭和51年(不)第8号 
申立人  X2 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部下丸子地域支部桂川精螺分会 
申立人  X1 
被申立人  株式会社 桂川精螺製作所 
命令年月日  昭和52年 8月 2日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が「勤労情報」で組合を誹謗中傷したこと、各課長が組合加入者は不利益を受ける旨等の発言をしたこと、海の家の経費負担について組合と別組合を差別したこと、組合員X1を退職させたこと、組合員X2を職場で孤立するようにしむけたり単純な職務への配転をした事件で、組合の誹謗中傷の禁止、海の家の経費負担についての別組合との同等の取扱い、X1の原職復帰、バックペイ、X2に対する配転、孤立化施策の撤回、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社桂川精螺製作所は、その発行する「勤労情報」において、申立人日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部下丸子地域支部桂川精螺分会の活動を誹謗中傷することにより、被申立人会社の従業員が申立人組合に加入すること、申立人組合の活動を行なうことに支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、海の家(民宿)の経費負担につき、申立人組合と申立外桂川精螺従業員組合とを同等に扱わなければならない。
3 被申立人会社は、各課長が従業員に対し申立人組合の組合員は不利益を受ける旨発言しないよう書面で各課長に注意しなければならない。
4 被申立人会社は、申立人X1を昭和50年3月21日以降も雇用関係が継続しているものとして扱い、同日以降の賃金相当額(定期昇給、賃上げ分および一時金等を含む。)を遡及して支払い、また今後賃金その他の労働条件について同人が申立人組合の組合員であることを理由として差別的な取扱いをしてはならない。
5(1)被申立人会社は、申立人X2に不良品の選別や製品運搬作業のみを担当させず、他の外勤営業従業員と同様の業務につかせなければならない。
 (2)被申立人会社は、昭和50年12月15日営業部第4課で行なわれた決議の撤回を同課員らに命じなければならない。
 (3)被申立人会社は、申立人X2への電話を同人の自席の電話器につながなければならない。
6 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に下記の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に明瞭に墨書して、会社社員食堂入口の衝立に10日間掲示しなければならない。
              記
                  昭和 年 月 日
   日本労働組合総評議会全国金属労働組合
   東京地方本部下丸子地域支部桂川精螺分会
         執行委員長 X3 殿
             株式会社 桂川精螺製作所
             取締役社長 Y1
 当会社が行なった次の各事項は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後このような行為をくりかえさないようにいたします。
(1)「勤労情報」で、貴組合を誹謗中傷したこと。
(2)海の家(民宿)の経費負担について貴組合と従業員組合を差別したこと。
(3)各課長が貴組合の組合員は不利益を受ける旨の発言をしたこと。
(4)貴組合の組合員X1氏を退職させたこと。
(5)貴組合の組合員X2氏を職場で孤立するようにしむけたり仕事上の差別をしたこと。
 以上東京都地方労働委員会の命令によって掲示いたします。
 (注、年月日は掲示した日を記載すること。)
7 被申立人は、第6項を履行したときはすみやかに文書で当委員会に報告しなければならない。 
判定の要旨  1301 出向
組合員X1の退職が、会社職制から強要されたもので不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2を適材適所を理由に営業業務からネジの選別作業に配転したことが不当労働行為とされた例。

1601 福利厚生上の差別
会社が海の家について、組合との共催要求には応ぜず、別組合とのみ共催し、福利厚生費を支出したことが、組合員に対する不利益取扱いであるとされた例。

2620 反組合的言動
会社が、「勤労情報」で組合を誹謗中傷したことが、組合への支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2700 威嚇・暴力行為
会社課長が、「組合加入者は不利益を受ける」旨発言したことが反組合的言辞にあたり組合への支配介入であるとされた例。

2803 その他
会社が、別組合にのみ福利厚生費を支出し、組合には要求があってもこれに応ぜず、差別して扱ったことが支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員X1に退職届を提出させるに至った会社職制の言動が支配介入とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
下級職制らが組合員X2に対して「口をきかない」等職場で孤立させる決議をしたことが 不当労働行為とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X2に対する下級職制らの職場孤立化通告ならびに行動が、会社の責に帰すべきものとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
会社課長の、「組合加入者は不利益を受ける」旨の発言が、会社の意を体してなされた行為で会社の責に帰すべきものとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集117頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地裁昭和52年(行ク)第99号 全部認容  昭和52年12月12日