概要情報
事件名 |
北都ハイヤー |
事件番号 |
北海道地労委昭和51年(不)第10号
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申立人 |
北都ハイヤー労働組合 |
被申立人 |
北都ハイヤー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和52年 3月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
勤務中の麻雀、料金不正記入等を理由に4名を解雇し、勤務成績不良を理由に1名を出勤停止処分、勤務怠慢を理由に2名を減給処分にした事件で、解雇取消し、原職復帰、バックペイ、休職・減給処分の取消し及び差額の支払、支配介入の禁止並びにポスト・ノーティスを命じ、陳謝分の新聞への掲載及びテレビへの放映については棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人の元執行委員長X1、同X2、元書記長X3、組合員X4に対する昭和51年 3月18日付各予告解雇を取り消し、同人らを原職に復帰させ、かつ予告解雇の日から原職復帰に至る間、同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 また、同月19日付をもって、元書記長X5に対してなした7日間の出勤停止処分、元執行委員X6に対してなした2ヵ月間の休職処分、同X7に対してなした1ヵ月の減給処分をそれぞれ消り消し、処分を受けなかったら受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 2. 被申立人は、申立人の役員人事や賞罰委員人事に介入したり、組合活動家等を解雇或いはその他の懲戒処分をするなどして組合の運営に支配介入してはならない。 3. 被申立人は、下記内容の陳謝文を縦1メートル、横2メートル以上の木製厚板に楷書で墨書し、本社入口付近の従業員の見易い場所に命令交付の日から3日以内に7日間連続して掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 会社は、貴組合の活動を嫌悪し、組合弱体化の意図のもとに組合の役員人事や賞罰委員人事に介入したり、或いは昭和51年 3月18日付及び同月19日付をもって組合員の予告解雇や懲戒処分を行いました。 かかる行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為でありましたので、ここに陳謝するとともに、今後再びこのような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日(掲示した初日を記入すること) 北都ハイヤー労働組合 執行委員長 X8 殿 北都ハイヤー株式会社 代表取締役社長 Y1 4. 申立人のその余の申立ては棄却する。 5. 被申立人は、第1項及び3項の履行状況をすみやかに当委員会に報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
会社は、勤務時間中に麻雀をする従業員がいるとの疑いをもって、当日現場に赴きながら事実を確認せず、事後においても事故反省書をX1に書かせただけで問題を不問に付していること、この問題を賞罰委員会の審議案件として提案しながら、一方的に直ちに審議を打切っていること、かねて勤務中に麻雀をやる従業員がいるとの風評を耳にしながら、なんら厳正適切な措置をとっていないこと、さらに当日休憩時間を超えて車を離れた従業員の服務規律違反を一般的に問題とすることなくX1ら3名のみを懲戒解雇の審議対象とし、これが成功しないとみるや直ちに予告解雇をしたもので差別取扱いである。
0900 不正行為
チケット不正記載等を理由に組合員X4を予告解雇したことが不当労働行為とされた例。
1400 制裁処分
稼働不振を理由に組合書記長を出勤停止処分に付したことが不当労働行為とされた例。
1400 制裁処分
宿直勤務者に対する指導怠慢等を理由に運行管理代務者である組合員2名を休職処分あるいは減給処分に付したことが不当労働行為とされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合脱退者には年末一時金を支給する旨の言動が支配介入とされた例。
3600 処分の差別
チケット不正記載等をした非組合員に対しては減給処分としたことと比較すれば、組合員X4を予告解雇したことからみて差別取扱いであるとされた例。
3700 使用者の認識・嫌悪
宿直勤務であった運行管理代務者の責任を全く問題とせず、非勤務者であった組合員2名を宿直勤務者に対する指導怠慢を理由に懲戒処分に付したことから不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集61集285頁 |
評釈等情報 |
 
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