概要情報
事件名 |
ヒロセ電機 |
事件番号 |
東京地労委昭和51年(不)第37号
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申立人 |
X1 X2 |
申立人 |
全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部 |
申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部 |
申立人 |
全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会 |
被申立人 |
ヒロセ電機 株式会社 |
命令年月日 |
昭和52年 2月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
49・50年度一時金、50年度昇給臨時昇給差別、組合員を主任に昇格させなかった事件で従業員の平均昇給率並びに支給率を基準として再査定、差額の支払い、臨時昇給、主任への昇格、支配介入の禁止およびポスト・ノーティスを命じ、49年度昇給についての申立ては却下した。 |
命令主文 |
1. 被申立人ヒロセ電機株式会社は、申立人X2、同X1に対して、昭和49年度夏期・冬期一時金、昭和50年度昇給、夏期・冬期一時金につき、従業員の平均昇給率並びに支給率を基準として再査定を行ない、既支給額との差額を支払わなければならない。 2. 被申立人会社は、申立人X2、同X1に対して、昭和50年度臨時昇給を申立人組合員以外の従業員に対するのと同一の時期に同一の昇給率で行わなければならない。 3. 被申立人会社は、申立人X2を本命令交付時に主任に昇格させ、所定の主任手当を支給しなければならない。 4. 被申立人会社は、昇給・昇格並びに一時金の考課査定について、申立人X2、同X1が申立人組合の組合員であることを理由に、他の従業員と差別することにより、組合の運営に支配介入してはならない。 5. 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記のとおり明瞭に墨書して、従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部 執行委員長 X3 殿 全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部 執行委員長 X4 殿 全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会 分会執行委員長 X2 殿 ヒロセ電機株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合員に対し、昭和49年度一時金査定、昭和50年度昇給・一時金査定に際して、貴組合の組合員以外の者より低く査定したこと、X2氏を主任に昇格させなかったことは、いずれも不当労働行為であると、東京都地方労働委員会で認定されました。今後、同種の行為を繰り返さないよう留意します。 (注、掲示の年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 6. 申立人の昭和49年度昇給についての申立ては、これを却下する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
会社は、昇給、一時金について組合が全額査定を了解ずみであることを理由に本件昇給、一時金差別についての申立ての却下を求めるが、合理的な査定であったか否かと、査定によることの合意の存否は、別個の問題であり、申立人が組合活動の故に一貫して差別をうけたこと、申立人の昇給率、支給率も従業員平均に比し低いこと等の諸事実からみて、会社が昇給、一時金について申立人を差別したことは不当労働行為である。
1201 支払い遅延・給付差別
臨時昇給について、組合との妥結を遅らせている原因は、会社が組合員に日常差別をしているなかで、当然の事理を前提条件として提案し、あえて固執することにあり、組合との間で臨時昇給の妥結が行われず、他の従業員に支給しながら、組合員に支給されない結果となっていることは、組合に対する差別であり、組合の弱体化等を意図した不当労働行為である。
1200 降格・不昇格
同期の者と差別し組合員のみを主任に昇格させないことは、その組合所属組合活動によるものと認められる。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、賃金の昇給率、支給率の格差を正当化するに足る合理的理由の存在について疎明を行っていないところから、昇給、一時金差別の救済として他の従業員の平均昇給率並びに支給率を基準として是正するよう命じる。
5201 継続する行為
救済申立てにかかる昇給、一時金、昇格の決定から申立ての日までに1年を経過しているものが含まれているとしても、申立人が会社の行為を継続する行為と主張する以上、この点について審問を行わず、却下事由の存否を判断することはできない。
5124 その他の審査手続
一時金の平均支給率について協定が成立していても、申立人が配分に関し、不当労働行為が存在すると主張している以上、解決ずみか否かは審問をまたずに判断できない。
5145 救済内容が実現不可能
臨時昇給については、労使間に合意が成立しておらず、昇給は未確定であるとして、この部分に関する救済申立ては却下さるべきであると主張するが、不当労働行為に該当しないことが明らかであるか、救済内容が法令上、事実上実現不可能かは審問をまたずに判断できない。
5120 使用者の不出頭
被申立人が審問に不出頭のまま救済命令が出された。
5201 継続する行為
組合は昇給決定について、再三是正を求めたと主張するが、具体的にその是正を求めた事実は認められない。従って昇給格差について、とくにこれを維持し、是正を拒否しつづける不当労働行為意思の存在が立証されたとはいい難く、継続する行為が認められない。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集61集131頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1977年 6月15日 273号 92頁 
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