概要情報
事件名 |
チャータードバンク |
事件番号 |
東京地労委昭和47年(不)第90号
|
申立人 |
外国銀行外国商社労働組合東京支部第二分会 |
申立人 |
外国銀行外国商社労働組合横浜支部第一分会 |
申立人 |
外国銀行外国商社労働組合神戸支部第一分会 |
被申立人 |
ゼ・チャータードバンク |
命令年月日 |
昭和51年 9月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
組合員である臨時雇に統一協約の適用拒否、新入社員に対する組合加入妨害、旅行補助金不支給、裁判傍聴のための有給休暇不承認、ガレージ使用制限、就業時間中の抗議行動等に対する警告書、行員室使用制限、これらの問題に関する団交を拒否した事件で、組合加入妨害の禁止、各種警告書の撤回、団交応諾、行員室の使用許可と使用条件の協議及びポスト・ノーティスを命じ、統一協約の適用、抗議行動に対する警告書は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人ゼ・チャータードバンクは、職制を通じて従業員に対して申立人組合に加入しないよう働きかけてはならない。 2 被申立人は、下記の警告書を撤回しなければならない。 (1) 申立人外国銀行外国商社労働組合東京支部第二分会分会長宛に発した昭和46年12月4日付警告書。 (2) 申立人外国銀行外国商社労働組合神戸支部第一分会組合員X1に対する昭和47年2月4日付警告書。 (3) 同分会組合員X1およびX2に対する昭和47年4月24日付警告書。 3 被申立人は、申立人東京支部第二分会に対して同分会が被申立人東京支店行員室を組合活動に使用することを許さなければならず、この使用許諾の具体的条件について同分会との間で合理的なとりきめをしなければならない。 4 被申立人は、つぎのとおり団体交渉を行なわなければならない。
交渉の相手方 交 渉 事 項
東京支部 1 組合旗返還問題 第二分会 2 組合事務所、行員室問題 3 サタデー・オフ問題
神戸支部 1 旅行補助金問題 第一分会 2 有給休暇取得に関する警告書問題
5 被申立人は、本命令書受領の日から10日以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記(I)(II)(III)の内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人銀行の東京支店、横浜支店および神戸支店の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 (I) 記 昭和 年 月 日 外国銀行外国商社労働組合東京支部第二分会 分会長 X3殿 ゼ・チャータードバンク 日本における代表者 Y1 銀行の行なった下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 1 貴分会が行員室を使用したことに対して警告書を発したこと。 2 貴分会が行員室を使用することを制限したり、同室内にはられたポスターを撤去したこと。 3 組合事務所、行員室問題ならびに組合旗問題およびサタデー・オフ問題の団体交渉に応じなかったこと。 (II) 記 昭和 年 月 日 外国銀行外国商社労働組合横浜支部第一分会 分会長 X4殿 ゼ・チャータードバンク 日本における代表者 Y1 銀行のY2次長らが、貴分会員に対し、組合加入を妨害する言動を行なったことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (III) 記 昭和 年 月 日 外国銀行外国商社労働組合神戸支部第一分会 分会長 X5殿 ゼ・チャータードバンク 日本における代表者 Y1 銀行の行なった下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 1 貴分会員X1およびX2両氏が有給休暇を取得したことおよび貴分会員X1氏が駐車場を使用したことに対して警告書を発したこと。 2 旅行補助金問題、有給休暇取得に対する警告書問題、駐車場使用問題および組合事務所、行員室問題について団体交渉に応じなかったこと。(注、年月日は、いずれもについても掲示の日を記載すること) 6 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
1600 休暇の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支店長が組合員らの休暇により業務上支障が生ずると判断し時季の変更を求めたことには合理的な理由がないとはいい切れないが、銀行が休暇の利用目的を組合用務と知っていたとみられ、かつ同支店長の他の言動にも不適切なものがみられること等からすると、組合員X1、X2に対して警告書を発したことは組合に影響を与えようとしたものであるとともに、同人らに対し処分権を留保しているから不利益扱いである。
1400 制裁処分
3020 組合活動への制約
分会や上部団体が営業室にポスターを貼付したり拡声器で行内で抗議行動等したことに対して、銀行が警告書を発したことは、その警告回数が多くしかも分会長個人の責任を過大に追求する趣旨がうかがわれるけれども、現実には何らの懲戒措置がとられなかったこと等本件におけるその他の事情を考えると申立人組合に対する支配介入と認めることはできない。
3020 組合活動への制約
行員室は行員の休養等の場と組合活動の場と共用であるためその管理権は銀行にあり、組合の無制限使用は許されないが、10年来合意の上で使用方法等についても組合に任せていたことやまた新行員室が営業室と独立していて旧行員室より業務に支障が少ない状態になったことからみて本件銀行の各行為は新行員室設置に藉口してなされた支配介入行為である。
4602 組合との協議を命じた例
本命令においては銀行に分会の行員室利用を許諾すべき旨を命ずることとしたが、他面、分会が会社施設を組合活動に利用する際に施設管理上一定の限界が存することも否定できないところであるから、銀行による使用許諾の具体的条件についてこれまでの慣行、新行員室の位置等の点を含め諸般の事情を考慮して合理的なとりきめをなすべき旨を命ずることが適当である。
1201 支払い遅延・給付差別
臨時雇である組合員X6にすべての非事務行員に適用される賃金の統一協約を適用しないことが不利益扱いでないとされた例。
2213 交渉人数
2216 その他
行員室利用に関する団交申入れに対し、銀行が交渉員数や時間の制限を要求し、さらに予備折衝にも応じないことが不当労働行為とされた例。
2242 回答なし
2300 賃金・労働時間
2301 人事事項
分会員3名に対する有給休暇の取り扱い及び警告書問題に関する団交の申入れを、団交の対象事項とはなりえないとして拒否したことが不当労働行為とされた例。
3020 組合活動への制約
銀行ガレージを無断使用したとして組合員に警告書を発したことが支配介入とされた例。
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
組合員が銀行ガレージを無断使用したことに対する警告が事件後2ヵ月近くも経過して行われていることから支配介入とされた例。
3900 「不利益の範囲」
年次有給休暇未承認のまま欠勤し仮処分事件の傍聴に行った組合員に対し警告書を発したことは、たとえ警告書であっても処分権を留保している以上不利益扱いであるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
分会員X7の昇格に関する団交申入れを拒否したことには正当な理由はないが、本件は解決済であり、救済の利益はないとされた例。
2302 労務管理・労使関係
銀行が撤去した組合旗などの返還をもとめる団交の申入れを拒否したことが不当労働行為とされた例。
2303 福利厚生
旅行補助金に関する団交の申入れを拒否したことが正当な理由がないとされた例。
2300 賃金・労働時間
土曜休日制度の実施に関する団交申入れを拒否したことが不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
支店次長らが組合に加入してほしくないとの趣旨の発言をしたことが支配介入とされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
銀行ガレージの使用制限及び分会員X1に対する警告書の撤回等に関する団交の申入れを、マネージメントの問題であるとして拒否したことには正当な理由はないが、支店には既にガレージは存在せず、団交を命ずる利益はないとしてポスト・ノーティスのみを命じた例。
|
業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集59集279頁 |
評釈等情報 |
 
|