労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  マックスファクター 
事件番号  滋賀地労委昭和50年(不)第2号 
申立人  合成化学産業労働組合連合マックスファクター労働組合 
被申立人  マックスファクター 株式会社 
命令年月日  昭和51年 3月27日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  賞与支給にあたり、一方的に人事考課を導入し、特別差引の基準についての内規を定め、それにより組合員9名に対して組合の印刷物配布、職場離脱、暴力、傷害行為等を理由に賞与から特別差引を行った事件で、特別差引の取消及び差額の支払を命じた。 
命令主文  被申立人会社は、昭和49年12月 6日に実施した年末賞与支給に際して下記申立人組合所属組合員に対してなした特別差引を取り消し、下記特別差引相当金額を各人に対し速やかに支払わなければならない。
     (下記組合員略) 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
使用者は、施設管理権を盾に全ての職場内組合活動を当然に制限しうるものではなく、組合員Hらが会社の許可なく組合の印刷物を各職場に配布した行為は、いずれも就業時間外に行われていること、特に業務の運営を阻害したとも認められないこと等から、正当な組合活動であると認められるから、これを理由に賞与から特別減額したことは不当労働行為である。

1201 支払い遅延・給付差別
会社は、組合執行委員X1ら4名が無断職場離脱したと主張するが、同人らが就労時刻に遅れたのは組合員5名に対する自宅待機命令通告に関し、労使協議会開催の申入れを行ったためであり、同人らがいずれも執行委員であること、遅れたのは8分にすぎず、業務の運営を阻害したとの主張もないこと、従前就業時間中に団交、労使協議会の申入がなされたことがあること等からすれば同人らの行為は正当な組合活動であり、この行為を理由に賞与から特別減額したことは不当労働行為である。

1201 支払い遅延・給付差別
3602 違法・不当な行為に使用者側にも責任がある場合
組合員X2が、裁判傍聴のための早退にあたって、通院のためと虚偽の早退届を提出したことは、従来裁判所や地労委への傍聴のための早退等が認められず、同人も同様理由で提出した早退届、有給休暇届がしばしば拒否されたこと等の事情からなされたもので、会社の休暇取扱いが適切に認められていたなら、本件は防ぎえたと推測され、しかも本件行為に対して会社は単に始末書提出で片づけているにもかかわらず、賞与から特別減額したことは、虚偽申告をなしたことを奇貨としてなした不当労働行為である。

1201 支払い遅延・給付差別
3603 労働者に落度がない場合
組合闘争委員X3の抗議行動は、女子組合員に対する脱退工作について上司の課長に問いただす目的でなされたものであり、休憩時間中で、しかも10分程度であったことなどから職場秩序びん乱行為があったとは認められず、本件行為は正当な組合活動を逸脱しておらず、この行為を理由に賞与から特別減額したことは不当労働行為である。

1201 支払い遅延・給付差別
3020 組合活動への制約
組合ビラ配布中に、これを妨害しようとした課長らに暴力をふるったとして組合員2名に対してなされた賞与からの特別減額が不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3020 組合活動への制約
会社次長の組合ビラ配布活動妨害行為に抗議中同人に暴力をふるったとして、組合員の賞与から特別減額したことが不当労働行為とされた例。

3106 その他の行為
賞与に関する協定締結後、会社が一方的に賞与から特別減額するとの内規を制定したことが支配介入とされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集58集393頁 
評釈等情報  労働判例 1976年 7月 1日  249号 64頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和51年(不再)第31号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和52年 6月 1日 決定