概要情報
事件名 |
第一建興 |
事件番号 |
神奈川地労委昭和48年(不)第9号
神奈川地労委昭和49年(不)第1号
神奈川地労委昭和49年(不)第22号
|
申立人 |
総評全国一般東京地本全配管労働組合 |
申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方本部 |
被申立人 |
第一建興 株式会社 代表清算人 Y1 |
被申立人 |
東横工業 株式会社 |
被申立人 |
東京瓦斯 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年12月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
T社から分離独立したD社が、組合からのスト解除就労申入に対し、ロック・アウトを継続し、さらに会社解散、全員を解雇したこと、D社が賃上げに関する団交を、T社が会社解散に関する団交をそれぞれ拒否した事件で、両社に解雇の取消し、原職復帰、バック・ペイ及び誓約書の手交等を命じD社の元請会社Tガス社に関する申立ては却下した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人第一建興株式会社および同東横工業株式会社は、それぞれ総評全国一般労働組合 神奈川地方本部全配管労横浜支部横浜分会所属組合員たる従業員対して次の措置をとらねば ならない。 (1)昭和48年8月7日から同年12月25日までのロックアウト期間中の賃金相当額を支払うこ と (2)原職又は原職相当職に復帰させることおよび解雇の日から原職復帰までの間の賃金相当 額を支払うこと等の措置を含め、昭和48年12月25日付の全員解雇がなかったと同様の状 態に回復させること 2 被申立人第一建興株式会社および同東横工業株式会社は、申立人両組合に対し、本命令交 付後1週間以内に次の誓約書を手交しなければならない。 誓 約 書 昭和48年8月7日からの長期ロック・アウト、昭和48年12月25日付の貴組合の組合員に対 する解雇は、貴組合の横浜支部横浜分会を壊滅させるためになしたもので神奈川県地方労働 委員会の認定したとおり不当労働行為でありました。 会社は、貴組合と組合員各位に陳謝するとともにすみやかに救済の措置を講じ、今後は団 体交渉にも誠意をもって応じ再びかかる行為を行わないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 総評全国一般労働組合神奈川地方本部 執行委員長 X1 殿 総評全国一般東京地本全配管労働組合 執行委員長 X2 殿 第一建興株式会社 代表清算人 Y1 東横工業株式会社 代表取締役 Y2 3 被申立人東京瓦斯株式会社についての申立てはこれを却下する。 4 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0419 ロックアウトとの関連
社長は分会のスト解除の就労申入れを偽装就労であると一方的に極めつけ就労の手順について話し合いに応ぜず、その後の再三の申入れにも耳をかさず長期にロック・アウトを継続したことは明らかにロック・アウトの正当性を逸脱したものである。
1800 会社解散・事業閉鎖
D社は、親会社であるT社によって計画的に不採算企業に仕立てられ、その後の無期限ストに続く違法長期ロック・アウトによって終末のテンポが早められたもので、T社の分会壊滅の意図の実現に手をつけたものであって、かかる会社解散、全員解雇は不当労働行為である。
1900 営業譲渡・合併
T社は、下請会社D社の社長の合理化案が分会の容れるところとならないことからD社を手放す方策に踏み切り、T社からの出向者をT社から退職させてD社に入社させる等して人事関係の面で形式的無関係の形をつくりあげ、全資本を引揚げ不採算部門のみを残すことにより赤字累積倒産必至の企業にし、かくして経営を第三者に手渡し会社倒産、組合壊滅を実現せんとしたもので、T社のD社切り離し行為は計画的不当労働行為である。
2130 雇用主でないことを理由
2300 賃金・労働時間
D社幹部が約20日間姿をくらまし、賃上げに関する団交に応じなかったこと、実質上の使用者に当るT社がD社のロック・アウト以降申立人組合からの団交申入れを拒否してきたことはいずれも不当労働行為である。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
会社解散、全員解雇の救済として、現在請算中の被申立人D社が事業再開の上、申立人組合員を原職又は原職相当職に復帰させることを主目的とし、不可能な場合には被申立人T社の原職相当職に復帰させるべく、両社それぞれ使用者として共同して原状回復をはかるべきである。
4915 親会社
D社は、人事、資本、経理経営の面から設立以前と同様に親会社であるT社の一部門として役割を果していたにすぎず、ことに分会対策においては、T社はD社を指揮指導する立場に立って一体となって分会を敵視し、分会壊滅という意図のもとにD社を不採算会社に仕立てあげ、会社解散へとの措置をとったのであるから形式上の使用者たるD社はもとよりT社も実質的使用者としてD社の会社解散につき不当労働行為の責任をとらなければならない。
4900 請負・委任・派遣契約
4916 企業に影響力を持つ者
Tガス社はD社に対して経理経営面での指導、技能労働者に対する研修等ある程度の関与はあるものの工事発注者としての指導の域を著しく逸脱するほどの事実はなく、本件不当労働行為を積極的に推進したとする事実もないので、本件においては使用者として責任を負うべきものとは認められない。
|
業種・規模 |
ガス業(熱供給業を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集57集302頁 |
評釈等情報 |
 
|