労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  城北工機製作所 
事件番号  愛知地労委昭和48年(不)第9号 
申立人  全愛知金属産業労働組合 
被申立人  株式会社 城北工機製作所 
命令年月日  昭和50年 3月13日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が組合支部の企業内組合への改組を工作し、新労結成について育成援助し、組合脱退および別組合加入を勧奨し、団交確認書調印で別組合と差別し、声明文を掲示し、給料を差別支給したこと等をめぐる事件で、支配介入の禁止、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主     文
1 被申立人株式会社城北工機製作所は、申立外城北工機労働組合の育成を画策し、申立人全 愛知金属産業労働組合の城北工機支部の組合員に対し、企業内組合への改組を工作し、脱退 を勧奨し、申立外城北工機労働組合の組合員と不当に差別するなどして、申立人全愛知金属 産業労働組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人株式会社城北工機製作所は、日本工業規格B判0番大の用紙に明瞭に記載した下 記の誓約文を、本命令書交付の日から7日以内に、被申立人株式会社城北工機製作所の中川 工場、上飯田工場及び稲沢工場の従業員が見やすい場所へ10日間掲示しなければならない。
                記
             誓  約  文
  株式会社城北工機製作所は、全愛知金属産業労働組合の城北工機支部の運営に支配介入し たことを陳謝し、今後かかることのないよう誓約いたします。
                               昭和 年 月 日
   全愛知金属産業労働組合
    執行委員長 X1 殿
                         株式会社 城北工機製作所
                          代表取締役 Y1
3 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2500 別組合の結成・援助
3410 職制上の地位にある者の言動
会社役員らが、新労役員と一諸に、新労加入者の人選をしたこと、新労の規約作成に参加したこと、勤務時間中新労の組合員募集を許可したことは、支部結成前後の社長・工場長等の行為、元支部長の会社の意を体してなした支部脱退行為等から事実と認められ、いずれも不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2801 団体運営に関する補助金支給
3410 職制上の地位にある者の言動
社長からの申入れによって開催されたトップ交渉において社長が大巾賃上げ等5条件により支部を企業内組合とするための利益誘導をはかったことは、支部組合に対する支配介入である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
工場幹部と組合支部長及び組合員X2が集合した喫茶店で、工場長がX2に対して支部長と一緒に組合を脱退し別組合の結成に協力するように依頼したとの組合主張は、組合の具体的な立証に対し会社は単にこれを否認するのみの態度に徴すれば、その事実を認定することができ、支部長らを通じて支部分裂を画策した支配介入にあたる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
下級職制による支部組合の非難中傷、組合に加入すると労働条件で差別される等の発言が、同人が会社の指示をうけて行動しているとみられること、脱退問題等で支部組合員が動揺している時期にあったことからみて、会社の意を体して行ったものとして会社に帰責さるべきである。

2620 反組合的言動
3700 使用者の認識・嫌悪
3701 他組合等との関係
会社が新労と労働協約を締結した等の声明文を掲示したのは団交確認書の調印につき差別している時期であること、新労との協約の内容についての支部の質問に何ら明らかにせず長期間内密にしていたこと、声明文掲示後、中立従業員や支部組合員の多数が新労に加入したことを考えれば、本件掲示は支部組合を嫌悪した不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2803 その他
3410 職制上の地位にある者の言動
3701 他組合等との関係
組合支部長に対し、工場長が新労に加入すれば昇進できると発言したことは、この発言の時期の会社の支部に対する態度及び工場長の支部に対する一連の行為から事実と認められ、支部組合に対する支配介入である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合支部長に対し、総務部長が新労加入を勧誘し、加入のための条件等を質問したことはこの時期の同部長の支部に対する態度や一連の行為から事実と認められ、支部組合に対する支配介入である。

2500 別組合の結成・援助
3103 労働協約締結をめぐる行為
3700 使用者の認識・嫌悪
支部組合との団交確認書調印を専務不出席を理由に拒否し、一方で新労とはその都度総務部長が調印していることは、新労が結成され支部組合員が動揺している時期であったことから考えれば会社が、支部組合を嫌悪し、新労との差別を意図してなしたものとみるのが相当である。

2500 別組合の結成・援助
2900 非組合員の優遇
3103 労働協約締結をめぐる行為
支部とベアを協定した5月初旬に新労との間の労働協約と同内容での措置をとれば給料計算締切日に間に合ったにもかかわらず、その措置をとらず、両組合の間に1万円以上の給与の差をつけて支給したことは会社が支部に対し新労との労働協約の内容を5月末までに一切明示しなかった態度とも併せ考えるとき賃金を差別することにより、暗に支部組合員の動揺をはかり、新労育成を画策したものとみるのが相当である。

2500 別組合の結成・援助
2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3410 職制上の地位にある者の言動
会社主任が支部組合員10名の脱退届を一括して支部に提出した行為は会社役員等が従業員に別組合の結成大会への参加を指示していること、組合会計担当者に企業内組合への改組を要請していること等から、会社が支部分裂を画策し、下級職制を通じて分裂工作に加担したものと認められる。

3104 別組合利用・別組合員宅訪問
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
組合支部長の支部脱退、新労結成等の言動は、トップ交渉での社長の意をそんたくしてなされたものであり、また同人の巧みな誘導により多数の組合員が支部を脱退したとしても、根本的には会社の反組合的介入行為が原因であると認められる。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集339頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
名古屋地裁昭和50年(行ク)第6号 一部認容  昭和50年 5月14日 決定