労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  佐野安船渠 
事件番号  大阪地労委昭和47年(不)第81号 
申立人  日本労働組合総評議会全日本造船機械労働組合 
申立人  総評全日本造船機械労働組合佐野安船渠分会 
被申立人  佐野安船渠 株式会社 
命令年月日  昭和49年12月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  社員研修会における反組合教育、下級職制により執行部退陣要求等の署名運動をめぐる事件で、いずれも支配介入としてポスト・ノーティスを命じ、不作為命令の請求については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、縦 1.5メートル、横 3.0メートルの白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社本社正面玄関附近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
            記
                     年 月 日
      申立人組合代表者あて
      申立人分会代表者あて
                被申立人会社代表者名
 当社は、貴組合及び貴分会に対し、下記の行為を行いましたが、これらの行為は労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたしますとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
               記
1 昭和46年7月中旬から昭和47年3月下旬にかけて、業務命令によって行った生産性向上研修会において、貴分会員に対して貴組合及び貴分会の運動方針及び活動を非難、中傷する教育を行ったこと
2 当社の職制をして、昭和46年年末一時金交渉中における署名運動並びに昭和47年10月ごろに行われた刷新統一同志会への加入署名運動及び分会執行部退陣要求署名運動の促進を図らせるなど、貴組合及び貴分会の運営に介入したこと
 以上、大阪地方労働委員会の命令により掲示します。
2 申立人らその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  3011 従業員教育
研修会における社内講師の講義内容、配布資料の内容、グループ討議の内容等からみて、分会が本部組合から離反することを教唆、煽動すると考えられる内容を含む教育であったこと、受講者は、業務命令によって参加を命ぜられ、実際には支出する必要がなかった宿泊費の支給を受けていること、分会に内密で実施していること、研修会後、組合が分裂した経緯等を総合すれば、会社は本件研修会を利用して組合運営に支配介入したものである。

2500 別組合の結成・援助
3410 職制上の地位にある者の言動
分会員たる下級職制は、勤務時間中に公然と部下に、スト中止あるいは反本部組合派への加入の署名を要求し、この点につき適切な処置をとることを求めた分会申入れを会社が無視したこと、署名運動に会社会議室が使用されたこと等からみて、本件職制の行為は、分会を本部組合から離反させることを意図する会社の意を受けてなされた支配介入である。

4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
組合は、救済の内容として、陳謝文の掲示のほか、研修会による反組合教育及び職制を利用しての署名運動による支配介入行為の禁止を求めるが、陳謝文の掲示を命ずれば、その実を果し得るものと判断するので、その必要を認めない。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集54集580頁 
評釈等情報  労働判例 昭和50年4月1日  218号 46頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和50年(不再)第5号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和51年 8月 4日 決定