概要情報
事件名 |
朝日放送 |
事件番号 |
大阪地労委昭和48年(不)第17号
大阪地労委昭和48年(不)第74号
|
申立人 |
朝日放送労働組合 |
被申立人 |
朝日放送 株式会社 |
命令年月日 |
昭和49年 8月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
組合員3名を副参事に昇格させなかったこと、資格制度を利用して組合員脱退勧奨をしたことをめぐり争われた事件で、遡って昇格させること、法定利率による金員相当分を含むバックペイ、陳謝文の手交を命じ、脱退工作についての申立ては除斥期間を徒過しているとして却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1、同X2および同X3を、昭和47年11月15日づけで副参事に昇格させるとともに、同人らが副参事に昇格していたならば得たであろう賃金相当額(各支払金に対する年5分の割合による金員を含む)を同人らに支払わなければならない。 上記賃金相当額中、昭和48、49両年度の定期昇給および賞与の査定にかかわる部分については、昭和47年11月15日に副参事に昇格した者の査定平均値によって措置しなければならない。 2 被申立人は、すみやかに下記陳謝文を申立人に手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人組合代表者あて 被申立人会社代表者 当社は、昭和47年11月の人事において、貴組合員X1、同X2、同X3の各氏を副参事に昇格させなかったことが不当労働行為であることを認め、ここに陳謝しますとともに今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 3 脱退工作に関する申立てはこれを却下する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員3名を副参事に昇格させなかったことは、同人らが同期入社の者などと比べ昇格が遅れていること、昇格基準には客観的基準とはいえないものが多く、また、資格制度の運用が必ずしも適正になされたとも認め難く、同人らは成績不良との会社主張は納得し難いこと、同人らがその組合活動の故に会社に嫌悪されていたと認められること、等からみて、不利益取扱いにあたり、又これを通じ組合の弱体化を図った支配介入行為とも認められる。
4407 バックペイの支払い方法
X1ら3名に関する47年11月の昇格問題の救済方法としては、48、49両年度の定期昇給及び昇与の査定にかかわる部分については、他に特別の事情も認められないので、47年11月に副参事に昇格した者の査定平均値によって措置し、これによる賃金相当額を支払うのが妥当である。
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
現行不当労働行為制度では、不当労働行為が認定された場合労働委員会がその裁量で事業に則し、不当労働行為がなされなかった状態を可能な限り回復させる旨の救済を命ずることができると解され、この趣旨からすれば支払われるべき賃金相当額に法定利率(年5分)による金員相当額を含めるのが適当である。
5200 除斥期間
組合員に対する会社職制らの資格制度を利用しての脱退勧奨が行なわれたのは、47年4月12、13日ごろのことであって、48年4月19日になされた救済申立てより一年以上前のことであるから、労組法第27条第2項により救済の対象とすることはできない。
|
業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集54集231頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和49年12月1日 210号 44頁 
|