概要情報
事件名 |
北洋相互銀行 |
事件番号 |
北海道地労委昭和47年(不)第6号
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申立人 |
全相銀連北洋相互銀行従業員組合 |
被申立人 |
株式会社 北洋相互銀行 |
命令年月日 |
昭和49年 3月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員に対し、組合からの脱退を勧誘したり、組合活動家の人事異動を行なったことをめぐる事件で、組合からの脱退勧誘および組合運営への支配介入となる人事異動の禁止を命じ、ポスト・ノーティスは棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、今後申立人組合の組合員に対し、脱退を勧誘するなどして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人会社は、今後申立人組合の運営に対する支配介入となる人事異動を行なってはならない。 3 申立人組合のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2500 別組合の結成・援助
従組分裂は、組合員の相当数の支持があったことにより、職組結成に踏み切ったとみるのが相当であり、会社役員が職組の活動方針に期待をもっていたことは認められるが、会社が従組批判派に従組分裂を教唆したとする具体的疎明は認められず、従組の主張は容認できない。
2610 職制上の地位にある者の言動
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
第二組合を推賞するような支店長の発言は、従組が分裂した直後で組合員は動揺し、組合間には勢力拡張抗争が激しい状況のもとで、従組の運営に重大な影響を与えようとの意図をもってなされたものと認めるほかなく、支配介入行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
支店長が遠軽から函館の従業員に電話をしたのは重要な得意先の要件であり、従組員が組合関係のことと勘ちがいしたので用件を伝えず電話を切ったと主張するが、別途他の方法により、この件を依頼した形跡もないことから、支店長の言動は従組に対する支配介入行為といわなければならない。
2610 職制上の地位にある者の言動
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3800 行為の結果・その他
支店長がコンピュター要員推せんに当り、X1に「従組にいたのではやりにくい」等と述べたことは当時両組合間が不安定であったこと、また、X1がコンピュター要員の話があった後20日間程の間に従組を脱退し、コンピュター部門に転勤したことなどを判断すると、支店長の行為は従組の運営に影響を与えようとした支配介入行為といわざるを得ない。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合分裂後両組合間の組合員の移動が流動的であった状況下で、従組が組織防衛に最大の努力を重ねていたときに、多数の組合役員などの活動家を異動の対象としたことは、銀行の従組嫌悪の言動と考え合わせてみると、異動を通じ従組の運営に支障をきたすことを期待する意図があったものと判断される。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合活動家6名の異動については、6名の在勤年数が長いこと、6名中3名は格別抗議もしていないこと、会社がこれら6名の組合活動をよしとしていなかったとしても特別嫌悪して本件異動におよんだとは認められないこと、本件異動が業務上の必要性からなされていること等からみて、会社の行なった異動発令は従組に対する支配介入には当たらない。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集214頁 |
評釈等情報 |
 
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