概要情報
事件名 |
三亜薬品工業 |
事件番号 |
東京地労委昭和47年(不)第102号
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申立人 |
X2 外個人2名 |
申立人 |
X1 |
申立人 |
総評化学産業労働組合同盟三亜薬品工業支部 |
被申立人 |
三亜薬品工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和49年 3月 5日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
ピケによる業務妨害等を理由に組合役員2名を解雇し、2名を出勤停止処分に付した事件で、原職復帰、処分取消、バック・ペイを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人三亜薬品工業株式会社は、申立人X1及び同X2を原職に復帰させ、昭和47年9月分以降原職に復帰するまでの間に受けるはずであった給与相当額を支払わなければならない。 2 被申立人会社は、申立人X3及び同X4に対する昭和47年8月7日付出勤停止5日間の懲戒処分を撤回し、その間の賃金を支払わなければならない。 |
判定の要旨 |
0414 ピケッティング
組合員が会社正門前に並び、非組合員等に説得するという本件ピケの態様は通例のものと認められ、多少の押し問答はあったが、特別のトラブルはなく、平和的説得の域を超えた違法なピケであるとは断じられない。
0414 ピケッティング
管理職の発言態度が組合員を刺激し、その結果ピケが強化されたとしても、ピケの強化だけを取り上げて、一概に組合を非難するのはあたらない。
0415 職場占拠
組合が会社の正門、裏門の扉にカンヌキをかけ、門柱を支えにテントをはったとの会社主張であるが、そのような状況はごく短時間であること、裏門には会社が施錠していたこと、職制が現実に入構していることなどからみて、これらのことを争議の違法性の一つに数えることは妥当ではない。
0415 職場占拠
争議中組合が会社施設に泊り込んだことは、社長みずから組合に対し、部屋の使用上の注意をしており、退去を求める発言もなかったことからみて、会社は施設の使用について了解していたとみられ、違法な占拠との会社主張は認められない。
0414 ピケッティング
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
スト中、団交直前の時期に当然予想される組合の反発を覚悟の上で、たかだか小型乗用車1台分程度の出荷作業をあえてしなければならない必然性が認められない以上、組合が実力をもってこれを阻止したことが違法な争議であるとの会社主張は認められない。
0414 ピケッティング
組合のピケはかなり強度のものとも認められるが、その実施中管理職がほとんど毎日入構していたこと、会社が出荷作業を強行する必要性があったとは認められないこと、組合員の関係者への説得が短時間で終わっていることなどからみて、また、地裁の妨害排除仮処分決定後組合はただちに争議の妥結に入っていることを考慮すれば、本件ピケに時として行きすぎの感があったとしても、組合役員2名に対し、解雇をもってのぞむことは当を得ない。
0416 暴力の行使等
次長がX2に足をかけられ、引き倒されて尾てい骨部を打ったとの会社主張は、両人の位置関係から不可能な行為であるとのX2の証言、会社から傷害を証明する診断書の提出がないことなどからみて、X2が暴力行為に及んだとただちに認めることはできない
0416 暴力の行使等
社長が暴行を受けたとの会社主張は、社長みずからの証言によれば、改めて暴力行為として取り上げるほどの状況であったとは認められない。
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
会社の出入業者が、スト突入後一週間余過ぎた時期に、あい前後して来社し、入構を要求したことは、いかにもとうとつであり、会社がスト対策の一環として、特にこの時期を選び来社させたとみるのが相当である。
3700 使用者の認識・嫌悪
前社長が「三亜労組は普通の労組とは違う。今度は徹底的にやる」などと発言していることからみて、会社が組合役員2名を解雇し、2名を出勤停止処分にし、組合への影響力を排除しようとしたとみるのが相当である。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集53集123頁 |
評釈等情報 |
 
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