労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  三豊製作所 
事件番号  中労委昭和44年(不再)第53号 
中労委昭和44年(不再)第55号 
再審査申立人  株式会社 三豊製作所 
再審査申立人  全国金属神奈川地方本部三豊製作所支部 
再審査被申立人  全国金属神奈川地方本部三豊製作所支部 
再審査被申立人  株式会社 三豊製作所 
命令年月日  昭和48年12月19日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  組合活動家の出産による休職後の復職拒否および解雇、解雇後組合に加入した者に関する団交拒否、始末書提出拒否を理由とする減給処分、交通費の差別支給などをめぐる事件で、減給処分、交通費の差別については初審命令を変更して救済し、他の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  初審命令主文第2項を取り消し、第3項を次のとおり変更する。
1 初審被申立人は、初審申立人の組合員X1およびX2に対する昭和41年9月15日の半日分の減給処分について、同処分がなかったと同様の状態に回復させなければならない。
2 初審被申立人は、昭和40年7月3日から昭和42年9月2日までの間における初審申立人の組合員に対する交通費の支給について、他の従業員と同様に取り扱わなければならない。
3 その余の各再審査申立人の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1106 契約更新拒否
3700 使用者の認識・嫌悪
会社が、組合員X3の出産による休職後の復職を拒否し、さらに解雇したことは、X3が出勤する意思を会社に伝えていること、復職の要件が不明確であることなどからみると、復職を拒む事由は存在しないはずであり、また、休職期間中に解雇通告書を発送していることからみて、X3の組合活動を嫌悪してなした不当労働行為であるといわざるを得ない。

1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
組合員と他従業員の賃上げ平均額にはかなりの差異が認められるが、この差異は、労務構成の相違、考課査定、不均衡是正によるものであって、個別的にみても組合員が不利になった事実は認められないから、会社が不当な差別をしたものとは認め難い。

1400 制裁処分
3600 処分の差別
金網の破れを通ったことを理由に始末書の提出を求め、これを拒否した組合員2名を減給処分に付したことは、過去にこのような行為をとらえて処分した例はないこと、他にも同様の行為をしたものが多数いたことなどから、組合員であることを理由とした不当処分であり、これを不当労働行為に該当しないとした初審判断は失当である。

1400 制裁処分
作業帽の着用拒否、タイムカードの打刻忘れ等についての始末書の提出を拒否した組合員6名を減給等の処分に付したことは、始末書を提出した組合員は何ら処分していない事実からみて、組合員に対する差別とは認め難い。

1201 支払い遅延・給付差別
1601 福利厚生上の差別
同一事業所において二つの就業規則を同時に適用していることから、交通費を差別支給したことは、交通費が実費補償の性格を有するものであり、新就業規則の適用をうけない臨時工も新就業規則に定める交通費の扱いをうけていることからみて、不当労働行為に該当するものであって、初審判断は失当である。

2112 雇用する従業員不存在
2301 人事事項
会社が、解雇後組合に加入した者に関する団交を拒否したことは、発令時に非組合員であったこと、人事権の問題については団交をしたことがないなどを理由としているが、これらは団交拒否の正当な理由とはならず、不当労働行為に該当する。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
初審命令交付後において、X4の解雇問題に関する団交が行なわれているから、X4の解雇についての団交を命じた初審命令を現実維持する必要はないので取消す。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集52集354頁 
評釈等情報  労働判例 1974年4月1日  194号 69頁 
中央労働時報 昭和49年4月10日  557号 15頁 

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委昭和43年(不)第8号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和48年 5月25日 決定