労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三豊製作所 
事件番号  神奈川地労委昭和43年(不)第8号 
申立人  全国金属労働組合神奈川地方本部三豊製作所支部 
被申立人  株式会社 三豊製作所 
命令年月日  昭和48年 5月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合事務所への電話架設拒否、別組合の反対を理由とする掲示板の設置拒否、表彰の差別、賃金差別等をめぐる事件で、電話架設の応諾、掲示板の貸与、表彰の実施、再査定と差額の支給を命じ、ポスト・ノーティスは棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合の事務所への電話架設を拒否してはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合との協議の結果昭和42年12月に合意した場所又は申立人の同意する場所に掲示板を速かに設置の上申立人に貸与しなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合員X1、同X2、同X3及びX4に対し、表彰規程(昭和40年10月1日改訂実施)第3条第1項に定める方法により勤続表彰を行なわなければならない。
4 被申立人会社は、昭和43年度賃金改訂において、申立人組合員に対する査定を改め、組合員平均が、組合員を除く被申立人会社溝ノ口工場従業員の平均を下回らないよう再査定の上、賃金改訂をし、その差額を支払わなければならない。
5 その余の救済申立はこれを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
賃金査定結果について、組合員全員と類似する組合員以外の従業員と対比すると、組合員に著しく低位者が多く、かつ高点者が少ないし、これについて会社は抽象的理由を立張するのみで、個々人についての具体的事由を立証しないので、組合員を差別的に取扱ったとの組合主張を採用せざるを得ない。

1601 福利厚生上の差別
会社は、永年勤続者である組合員4名を誠実に勤務した者ではないとして表彰しなかったが、誠実勤務に当たらないとした残業非協力は常識的にも納得し難く、その他はいずれも組合活動であって、必ずしも組合員のみの責任とはいえず、しかも4名全員が該当しているわけでもないので会社の主張は首肯し難い。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
組合事務所への電話架設を拒否したのは、別組合と異なり申立て組合とは事務室貸借協定が成立していないことによるというが、貸借協定についての会社案には、組合活動の制約等申立て組合としては承服し難いものがあったから、この責任を組合のみに負わせることはできず、会社の主張は認め難い。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
申立て組合と協議の結果掲示板設置の場所まで合意に達しながら、いたずらに別組合の反対のみを唱えて長年月を無為に過した会社の措置は首肯し難く、組合活動の活発化を抑えようとしたものと推認せざるを得ない。

1401 労務の受領拒否
3020 組合活動への制約
裁判傍聴等の組合活動終了後、帰社した組合員の就労を拒否したことは、規律維持月間に当り、今後内規を厳格に守る旨を予告していたこと、組合員は、内規に定められた時刻を過ぎて帰社したものであることからみて、会社の措置に不当労働行為意思が存するとは認められず、勤務時間の内外を問わず組合活動は自由であるかのような組合の主張は是認できない。

3104 別組合利用・別組合員宅訪問
従業員の過半数を占める別組合とのユニオンショップ協定は、新規採用者が組織を選択するに際し、いくばくかの心理的影響を与える等の程度にしか協定の効果は考えられず、これを目して直ちに組合破壊の第一歩とする組合の主張は採用しがたい。

3103 労働協約締結をめぐる行為
和解協定は、賃金是正を主眼目としていて、協定締結時点でそれが解決したのちは、本件で問題となった掲示板設置の問題が残るだけであるから具体的に生じた不利益が救済されれば、適法になされた協定の解約自体をあえて不当労働行為として取りあげる必要はないものと判断する。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集50集303頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和44年(不再)第53号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和48年12月19日 決定 
中労委昭和44年(不再)第55号/他 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和48年12月19日 決定