概要情報
事件名 |
報知新聞・報知印刷 |
事件番号 |
中労委昭和47年(不再)第56号
中労委昭和47年(不再)第58号
中労委昭和47年(不再)第59号
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再審査申立人 |
株式会社 報知新聞社 |
再審査申立人 |
報知印刷 株式会社 |
再審査申立人 |
報知印刷労働組合 |
再審査申立人 |
報知新聞労働組合 |
再審査申立人 |
日本新聞労働組合近畿地方連合会 |
再審査被申立人 |
報知印刷労働組合 |
再審査被申立人 |
報知新聞労働組合 |
命令年月日 |
昭和48年 3月19日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が昭和47年度賃上げに関する団交において、4条件を付し、妥結日の翌日からの実施に固執し、団交を延引させたことをめぐって争われた事件で、他の従業員と同一基準による賃上げの実施と、ポストノーティスを命じ、他の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 東京都地方労働委員会昭和47年(不)第52号事件および同第53号事件の命令主文を次のとおり変更する。 (1) 株式会社報知新聞社は、報知新聞労働組合の組合員に対して、昭和47年4月1日から会社最終回答どおり従業員1人平均 9,100円の賃上げを組合員以外の従業員と同一の基準により実施しなければならない。 (2) 報知印刷株式会社は、報知印刷労働組合の組合員に対して、昭和47年4月1日から会社東京本社従業員1人平均 6,200円の賃上げを組合員以外の従業員と同一の基準により実施しなければならない。 (3) 株式会社報知新聞および報知印刷株式会社は、本命令交付後1週間以内に縦1メートル、横2メートルの白色木板に、それぞれ下記のとおり明瞭に墨書して、会社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 2 その余の各再審査申立人の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
会社が、賃上げの付帯条件に固執し、未妥結を理由に実施期日の組合間差別をしたことは、未妥結の責任は会社にあり、他方会社がその従業員について組合所属の故に賃上げ実施時期に差をつけることを是認しうる特段の事情も見出し難く不当労働行為である。
2244 特定条件の固執
会社が、賃上げの付帯条件に固執して、団交を延引させたことは、その付帯条件には合理性がないところから、組織の弱体化を意図したものと認めざるを得ない。
2244 特定条件の固執
会社が、賃上げの付帯条件として、生産性向上への協力、不実の教宣の禁止、施設使用料の支払、日当の改訂、新輪転機の運用の服務を提案したことは、その条件が組合の活動方法を大巾に制約するおそれがあり、原資捻出に絶対不可欠なものとは認めがたく、合理性がない。
4415 賃金是正を命じた例
団交延引による賃上げの組合間差別の救済としては、本件労使間に団交を命じたとしても実効が期し難く、かつ、1年を経過していることをも考慮すると他の従業員と差別なきよう命ずることを適切と認める。
5008 その他
団交未妥結にあって、他の従業員と同一基準による賃上げの実施を命じることは、不当労働行為からの救済命令が単に労使関係を形成する権利義務の存在を前提としてのみ発せられるべきではなく、当該労使間に不当労働行為がなかったと同様の事実状態を形成させることを目的とするものであるから違法性はない。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集49集257頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 昭和48年6月10日 834号 77頁 
労働判例 1973. 5.15 173号 78頁 
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