事件名 |
東京・中日新聞 |
事件番号 |
中労委昭和46年(不再)第9号
中労委昭和46年(不再)第10号
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再審査申立人 |
株式会社 中日新聞社 |
再審査申立人 |
株式会社 東京新聞社 |
再審査被申立人 |
X1 外5名 |
再審査被申立人 |
東京新聞労働組合 |
命令年月日 |
昭和47年11月 1日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
東京新聞社が、春闘の争議において組合が業務妨害を行なったとして 組合幹部ら4名を懲戒解雇し、2名を休職処分に付し、その後東京新聞社の中日新聞社への譲渡にあたって被解雇者の雇用継続を 拒否した事件で懲戒解雇および休職処分の撤回、バックペイ、退職金の支払いに関しては初審命令を支持し、会社・組合双方から の陳謝文のとりかわしなどの部分を取消し、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第4項および第5項を取消す。
2 その余の各再審査申立人の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0203 職場闘争と業務妨害
0415 職場占拠
職場滞留は会社が労使間で十分協議すべき事項を一時金の解決条件として組合に不当に押しつけようとしたこと、突然相互責任不 追及の覚書の調印を求めたことにより惹起されたものというべく、本件職場滞留の態様に若干の問題があったとしても直ちに正当 な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められない。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
組合の一時金問題報告集会を開催するため、携帯マイク等を使用して集会参加を呼びかけて、争議時僅かの時間編集局内を巡回し たことは、従来マイクの使用が黙認されていたこと等から、とりたてて問題とするほどのものとは認め難い。
0415 職場占拠
0421 幹部責任
職場占拠は、工務局における支配介入行為、窮迫した状勢等の背景的諸事情からみて、会社にもその責任の一半があることは否定 できず、また、組合執行部の企画・指導によるものでもないから、会社が一方的に組合執行部の責任を追求し、懲戒処分の理由と することはできない。
0414 ピケッティング
0422 実行行為者の責任
ピケは会社側職制の通行を阻止したものとは認められず、しかも会社職制と組合とのトラブルは会社職制が組合員の通行を阻止す るため実力をもってキャスター室入口の扉をしめようとしたためであり、組合員の行為につき組合活動としてゆきすぎがあるとし て問責することはできない。
0414 ピケッティング
組合員が職制や販売店関係者を社内に入れるか否かについて会社裏玄関入口でトラブルがあったが、これは販売店関係者らの服装 が会社職制と同じであったことからピケ破りと誤認したことに原因があり、その後組合は同人らの代表を通していることからすれ ば、若干のトラブルが生じたことをもって直ちに正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認め難い。
0413 ストライキ(含部分・指名スト)
無許可で職場放棄し、職場懇談会を開いたことは、主催者が当時指名ストに入っており、また、この懇談会はスト権確立後の争議 手段として組合闘争委員会の指示にもとづいたものであるから、これをもって会社が無許可で職場を放棄したものと問責するのは 筋違いである。
0200 宣伝活動
0420 その他の争議行為
会社の正面玄関エレベーター等のドア、窓、柱等にビラを貼付したことは、ビラの内容、貼付の態様、本件争議時の状況等の諸事 情を考慮すれば、この程度をもっていまだ正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認め難い。
4908 営業譲渡後の譲受人
4915 親会社
中日新聞の支配が強まり、東京新聞の独立性が失なわれた39年に工務局を中心とする支配介入行為があり、これを契機として組 合の分裂がおこり、翌40年に本件不当労働行為が発生していることから、中日は、これと全く無関係とはいえず、本件不当労働 行為についてその責任なしとはいえない。
3606 労働者のみの責任とすることが不当な場合
組合活動に行き過ぎのあったことを処分の理由としたことは、行き過ぎの原因が会社の不当な態度に促されたもので組合側のみの 責任とは認められないことなどからみて、申立人らを企業から排除し、組合活動に打撃を与えて組合の弱体化を意図してなされた ものと認められる。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集48集426頁 |
評釈等情報 |
季刊労働法 高橋 貞夫 1973. 9 89号 86~91頁
労働法律旬報 1973. 2.25 827号 69頁
労働判例 1973. 4. 1 169号 63頁
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