労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  関西保温工業 
事件番号  大阪地労委昭和46年(不)第5号 
大阪地労委昭和46年(不)第44号 
申立人  X1 外11名 
申立人  全国建設及建設資材労働組合大阪府本部関西保温支部 
被申立人  関西保温工業 株式会社 
命令年月日  昭和47年 8月16日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  抗議行動参加者の一時金につき減給処分にしたり、その身元保証人に善導方を要請し、また、審問を傍聴した者を無断職場離脱として減給処分にした事件で、処分がなかったものとして減給分の支給とポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1. 被申立人は、別紙申立人組合員目録記載の各組合員に対し、別紙処分目録記載の昭和45年12月28日づけ懲戒処分がなされなかったものとして取扱うとともに、減給した各金員を支払わなければならない。
2. 被申立人は、別紙申立人組合員目録記載の各組合員(ただし、X2を除く)に対し、同人らの昭和46年夏期一時金より減額した各金員を支払わなければならない。
3. 被申立人は、X1、X3、X4およびX5に対し、別紙処分目録記載の昭和46年8日10日づけ懲戒処分がなされなかったものとして取扱うとともに、X1、X3、X4に対する同処分がなければ同人らが受けるはずであった賃金相当額およびX5に対する減給額をそれぞれ支払わなければならない。
4. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、本社、滋賀工場、各支店および各出張所の正面玄関付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
            記
                       年 月 日
  全国建設及建設資材労働組合大阪府本部
  関西保温支部
    執行委員長  X1 殿
               関西保温工業株式会社
                 代表取締役 Y1
 当社は、貴組合に対し、昭和45年12月28日づけおよび昭和46年8月10日づけで懲戒処分を行ない、かつ、これにつき身元保証人に対し、被処分者の善導方を求める通知をしましたが、これらの行為は労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝いたしますとともに、今後、上記のような行為を繰返さないことを確約いたします。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示いたします。 
判定の要旨  0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
X3が職場離脱して本社へ抗議に赴いたのは、組合の決定に従った組合活動であり、抗議も会社の組合軽視に対するものであり、かつ、職場離脱につき上司の許可をえているのであるから、X3に対する懲戒処分は、組合の抗議行動に対する報復措置と考えざるをえない。

0202 会社施設の利用
組合は、会社施設の使用許可を拒否され、他に会場を得ることができず、再度使用許可を申入れたが拒否されたため、やむをえずこれを使用したものであり、かつ、これにより会社の業務上・施設管理上支障がなかったのであるから、本件会社施設の無許可使用を理由とする懲戒処分は失当である。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
審問傍聴のための遅刻許可を理由を示さず取消してX3を懲戒処分し、さらに、このことに抗議した組合三役を懲戒処分に付したのは、いずれも理由がなく、労組法7条1号および3号に該当する。

0410 目的・手続き
無断職場離脱や会社施設の無許可使用は、争議行為中のことであり、争議行為に違法・不当がない以上、会社が許可を与えていないことのみをもって、参加者を問責するのは当を得ないものというべきである。

0410 目的・手続き
スト権を確立し、諸要求を貫徹するためになされた抗議集会や抗議行動は争議行為であり、これらの行為をするために会社施設利用等について会社の許可を求める行為があったとしても、その事実だけで争議行為でないとはいえない。

1201 支払い遅延・給付差別
一時金の減額が、支給対象期内における懲戒処分の内容に応じた成績査定の結果であるとしても、懲戒処分そのものが不当労働行為であるから、これにもとづく本件減額も不当労働行為である。

2621 個別的示唆・説得・非難等
被用者に業務上不適任等の事実がなく、また、任務等の変更もなく,身元保証人に具体的責任発生の危険性がないのに、懲戒処分の事実を身元保証人に通知し、被処分者の善導方を期待する旨を申入れていることよりすれば、会社の通知行為は、保証人を通じて被処分者の組合活動を牽制するためとみられ、労組法7条3号に該当する。

4617 その他
申立人らは、懲戒処分の取消し、減額分の支給およびポスト・ノーティスの他、身元保証人全員に対する謝罪状の送付および将来の不作為を求めているが、懲戒処分の取消し、減額分の支給およびポスト・ノーティスをもって十分であると考える。

業種・規模  建設業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集47集232頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和47年(不再)第60号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和48年12月 5日 決定