概要情報
事件名 |
大阪日日新聞社 |
事件番号 |
大阪地労委昭和47年(不)第33号
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申立人 |
日本新聞労働組合連合近畿地方連合会 |
申立人 |
大阪日日新聞労働組合 |
被申立人 |
株式会社 大阪日日新聞社 |
命令年月日 |
昭和47年 8月15日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、就業規則改訂、賃上げ、人員補充等を内容とする団交を拒否し、組合のストに対抗してロックアウトを継続し、ガードマンを導入して、組合の貼付したステッカーを破棄し、組合の会議室使用を妨害した事件で、ロックアウト前の原職相当職への就労、ロックアウト期間中の賃金支払、団交に応ずること、陳謝文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人はロック・アウトを解除し、下記の措置を含め、昭和47年4月27日以降ロック・アウトがなかったものとして取扱わなければならならない。 (1) 申立人大阪日日新聞労働組合(以下「組合」という)の組合員をロック・アウト前の原職または原職相当職に就労させること。 (2) 上記ロック・アウト期間中に組合員が受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。 2. 被申立人は、申立人日本新聞労働組合連合近畿地方連合会(以下「地連」という)および組合との賃上げ問題、就業規則改訂問題等を議題とする団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 3. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記の陳謝文を墨書して、会社玄関の従業員の見やすい場所に一週間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 日本新聞労働組合連合近畿地方連合会 執行委員長 X1 殿 大阪日日新聞労働組合 執行委員長 X2 殿 株式会社 大阪日日新聞社 代表取締役 Y1 当社は、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は、労働組合法第7条第1号、第2号および第3号に該当する不当労働行為であったことを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 記 1. 昭和47年4月27日以降貴組合の組合員に対してロック・アウトを行なったこと。 1. 昭和47年4月4日から同月25日までの間の貴組合との団体交渉を誠意をもって行なわなかったこと。 1. 昭和47年4月27日以降貴地連および貴組合との団体交渉に応じなかったこと。 1. 昭和47年4月25日および同月26日、貴組合の組合員らを会議室から実力で排除したこと。 1. 昭和47年4月25日、貴組合の貼付したステッカーを一方的に撤去したこと。 以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
0419 ロックアウトとの関連
3102 争議対抗手段
目的、手段において正当な争議行為に対抗して企業防衛上の必要性、緊急性がないのに先制的かつ攻撃的手段としてロックアウトを開始、継続し、組合が就労要求をしても偽装就労の申入れであるとして拒否し、団交にも応じぬ会社の態度は、組合の弱体化を意図する不当労働行為である。
2249 その他使用者の態度
会社側交渉委員の都合等で開催時間を制限したり、組合の激電問題陳謝を会社側回答の前提として固執する等の会社の一方的な態度には、団交によって組合側要求を解決しようとする誠意が認められない。
3020 組合活動への制約
組合のステッカー貼付は、賃借人との共用部分にもなされたり行き過ぎの感もあるが、会社や会館の施設管理上特段の支障があったとも認められず、当時の緊迫した労使事情によりすれば正当な組合活動というべく、会社が一方的にステッカーを撤去した行為は不当労働行為である。
3020 組合活動への制約
緊迫した労使対立の中で、会社が施設管理上特段の必要性を欠いたままガードマンを導入し、オルグ員と共に組合員を会議室から実力排除したことは、翌日の全日ストを控えての組合の会議を妨害し、また組合間の協力関係を嫌悪した不当労働行為である。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集47集180頁 |
評釈等情報 |
労働判例 山田幸彦 1973. 5.10 832号 70頁 
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